中小の工務店では、後継者が見つからないことで経営に重大な影響を与えることがあります。場合によっては倒産に直結するケースも少なくありません。
倒産を防ぎ、安定した事業承継を実現するためには、適切な後継者を見つけること、育成すること、そして経営をスムーズに引き継ぐことが不可欠です。
本稿では、後継者難による倒産の最新状況や、倒産回避策に焦点を当てて考察します。
東京商工リサーチの2023年度上半期(4-9月)の「後継者難」倒産調査によると、後継者が見つからないことによる倒産が222件にのぼり、前年同期比で8.2%の増加を記録しました。
産業別ではサービス業が62件(前年同期比21.5%増)、次いで工務店を含む建設業が57件(同39.0%増)と影響の大きさが伺えます。
また、資本金別では1千万円未満の小規模な企業が138件と、小・零細企業にこの問題が集中していることが明らかになっています。
これらのデータは、特に工務店を含む建設業界において、後継者の確保という課題がいかに緊急かつ重要かを示しており、対策が急がれることを示唆しています。
出典:東京商工リサーチ
工務店における後継者不足の問題は、単一の原因によるものではなく、さまざまな要素が複合的に絡み合っています。
「帝国データバンク全国『社長年齢』分析調査(2022年)」の報告によれば、2022年の日本の経営者の平均年齢は60.4歳で、過去最高であることが明らかになりました。経営者が引退する平均年齢は68.8歳であったことから、70歳前後での経営交代が標準であると言えます。
約30年前は経営者の引退年齢が61.3歳〜62.6歳であったことを考慮すると、経営者の高齢化が進行しており、それに伴う健康問題や不足の事態への対応リスクが増大していると推測されます。
出典:帝国データバンク :中小企業庁
工務店は地域密着の経営者と社員数名の「家族経営型」も多く、特に外部からの後継者を育てることに消極的である傾向があります。
また、このタイプは技術やノウハウが属人的である場合が多く、後継者候補が得られず事業承継が進まないケースも見受けられます。
工務店は景気変動の影響を受けやすい業種です。
近年は建設資材の高騰、慢性的な人手不足、そして少子高齢化や人口減少に伴う住宅需要の縮小が業績の低迷を招いています。
加えて、新築住宅市場の価格上昇は顧客の購買意欲を減退させています。
コストを重視した顧客が増えた結果、ハウスメーカーやリフォーム市場との価格競争に晒される工務店も増えているのです。
その他、後継者難倒産に陥りやすい企業の特徴は以下にまとめています。
住宅・不動産業界で増加する「後継者難」倒産の現状と対策
工務店で後継者不足による倒産リスクを減らすためには、事前計画と適切な対策が求められます。具体的に以下で見ていきましょう。
工務店の継続性は、新しい後継者へのスムーズな移行に伴います。
そのために、経営者には早期に後継者候補を見極めつつ、後継者育成計画(サクセッションプラン)を策定する責務があります。
後継者育成計画は、
に分けられます。
後継者への事業承継完了が計画のゴールとなり、もし候補者が適任でない場合は初期のステップに戻って再考と調整を行うことが求められます。
また、経営者だけでなく、社員、家族、企業関係者全員が後継者の成長を支える体制を万全に整えることが必要です。
財務の健全性は事業継続の土台となります。
工務店の中には「顧客と契約後に土地を探す過程で資金が底をつき、事業継続が困難になって倒産した」というケースもあります。
このような不幸な結果を未然に防ぐには、常に財務状態を健全に保つことが重要で、これがあって初めて事業承継を考えることができます。
後継者不足に伴うリスクを減らすためには、組織体制の強化も求められます。
経営陣のリーダーシップ能力の強化はもちろんのこと、社員一人ひとりの技術力や業務遂行能力の向上も含まれます。
組織全体で連携し協力し合う文化を築くことで、事業継続に向けて全社員が一丸となることが重要です。
工務店特有の現場感覚や技術の継承も、社員教育の中で重視されるべきでしょう。
大手ハウスメーカー等へのフランチャイズへの加盟は、工務店の経営者不足を直接解消するものではありませんが、安定した経営基盤と市場競争力を築く有効な手段です。
加盟によって、強固なブランド力、確かな市場信頼、販売・営業の専門知識が得られますが、本部の定めたルールや方針に沿う必要があり、自社の独自性を失うリスクも考慮する必要があります。
さらに、ロイヤリティや加盟費用も経営負担になります。
フランチャイズはサポート体制を強化する選択肢の一つと考え、経営層の育成という課題には別途対策が必要です。
工務店の経営者にとって、事業を次世代に託す決断は容易なものではありません。
しかし、後継者選びは長期的な視野が求められるため、なるべく早く開始することが得策です。
信頼性の高い候補を選定し、3年から5年、あるいはそれを超える期間をかけて育て上げることは、企業の将来にとって不可欠なプロセスです。
後継者に対して「企業を託しても良い」という確信が持てるまで、時間をかけて成長を促し、企業文化を継承させることが重要となります。
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工務店にとっての後継者問題は、住宅・不動産業界・建設業界にとっても重要な課題の一つです。
未来に向けた継続的な発展を考えた場合、新しいリーダーの発掘と育成は不可欠でしょう。
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