
ブランクがあること自体よりも、「この状態でまた働けるのか」という不安のほうが、次の一歩を重くしている人は多いのではないでしょうか。
仕事を辞めてからの時間を振り返ると、何かしら考えたり、生活を立て直したりしてきたはずなのに、職歴としては何も残っていないように感じてしまう。
その感覚が、「説明できない」「評価されにくそう」という思いにつながり、働き方を考えようとするたびに立ち止まってしまうことがあります。
一方で、ずっと休みたいわけでも、働くこと自体が嫌になったわけでもありません。
生活や将来のことを考えれば、また働きたい気持ちは確かにある。
それでも求人を見ては閉じてしまったり、「今はまだ違う気がする」と判断を先送りにしてしまったりする──そんな状態に心当たりはないでしょうか。
この迷いは、意志が弱いからでも、怠けているからでもありません。
ブランクがあることで、自分の立ち位置が一時的に見えにくくなっているだけです。この記事では、働き方を急いで決める前に、
なぜブランクがあると不安が大きくなりやすいのか、そして今の自分をどう整理すればよいのかを、順番に紐解いていきます。

ブランクがあることで不安を感じるのは、決してあなたのせいではなく、社会の仕組みや働き方の慣習が影響しています。
厚生労働省の統計でも示されているように、年代を問わず働くことに不安を抱く人は多く、継続して働くことが前提とされる社会構造が、ブランクを特別視させる背景となっています。
たとえば、キャリアの中断がある場合、履歴書や職務経歴書で説明しにくくなることを心配する声が目立ちます。こうした感覚は、個人の弱さではなく、社会全体の働き方の慣習から生まれるものです。
参考:厚生労働省|令和6年版厚生労働白書 図表1‑1‑17
休んでいた期間を「何もしていなかった時間」と感じやすく、自分の経験や成長を過小評価してしまう心理が働きます。
例えば、育児や家事、資格取得や学び直しなど、一見「職歴に直結しない時間」も、実際にはスキルや自己管理能力を育んでいる場合があります。
その価値を自分で認められないことで、再就職や働き方を考える際に不安が増幅してしまうのです。
同世代の友人や同僚と自分のキャリアを比べることで、「自分だけ取り残されている」という焦りが生まれやすくなります。
SNSでの情報や、周囲の成功例を目にすると、ブランク期間の価値を客観的に見つめるのが難しくなり、さらに不安が強まることがあります。
しかし、これはあくまで視点の偏りであり、実際の社会ではブランクがある人の再就職や働き方の選択肢は幅広く存在しています。

不安を感じたまま無理に働き続けることは、心身やキャリアにさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、特に注意したい3つのリスクを、統計や具体例も交えて整理します。
不安や焦りを無視した生活は、精神的ストレスや慢性的な疲労を招きやすくなります。
厚生労働省の調査でも、仕事に関する過度な不安や緊張は、睡眠の質低下や軽度のうつ症状につながることが示されています。
参考:厚生労働省|令和6年版厚生労働白書 図表1‑1‑17
具体的には以下のような影響が報告されています。
| 項目 | 高ストレス群 | 低ストレス群 |
| 睡眠の質が悪いと回答 | 58% | 22% |
| 軽度のうつ症状あり | 34% | 12% |
慢性的な疲労感や集中力の低下、頭痛や胃腸不調などが生じやすく、日常生活や家族関係にも影響が及ぶことがあります。
焦って働き方を選ぶと、短期的な安心に偏りやすくなります。
心理学的には、こうした状態は 「現状維持バイアス」 と呼ばれます。
無理に不安を押し殺して働き続ける場合、このバイアスが強まり、以下のような影響が出やすくなります。
| 状態 | 影響例 |
| 無理に働く | 自己成長の機会を失う |
| 不安を我慢 | 自己評価や自己効力感が低下 |
| 選択を急ぐ | 将来のキャリアの選択肢が狭まる |
「ブランクがあるのに今も立ち止まっている」と自分を責める人は少なくありません。
しかし、立ち止まって状況を整理すること自体は決して悪ではなく、再スタートのために必要なプロセスです。
立ち止まることで得られるメリット
具体的なステップ例
無理に不安を押し殺して働き続けると、心身への負担・キャリアの停滞・自己評価低下 というリスクがあります。
逆に、立ち止まって自分の状況や気持ちを整理する時間を持つことは、再スタートを成功させる大切なプロセスです。統計や具体例を見ながら、自分の状態や選択肢を客観的に整理することで、焦りや不安に振り回されずに行動できるようになります。
無理に安心を求めるより、小さな整理や確認の積み重ねが、長期的に納得できる働き方につながる ことを意識しましょう。

ブランクがあっても、自分に合った働き方を選ぶことは十分に可能です。
ここでは、代表的な働き方を整理しながら、どのような視点で選べばよいかを紹介します。
正社員は安定した収入や社会保障が整っている働き方です。
ブランクがある場合でも、最近は再就職支援や中途採用の求人も増えており、年齢やブランクの有無に応じた職種選びができます。
参考:厚生労働省|求職者支援制度のご案内
こんな人に向いている
注意点
派遣や契約社員は、勤務時間や業務内容の柔軟性が比較的高い働き方です。
ブランクがある場合でも、短期間から始められる求人があり、職場復帰のステップとして利用しやすい方法です。
参考:厚生労働省|雇用・労働 キャリア形成支援
こんな人に向いている
注意点
どの働き方も一長一短があり、ブランクがあるからといって選択肢が狭まるわけではありません。
重要なのは、自分の生活状況や価値観、心身の状態に合わせて無理なく選び、まずは小さな一歩から試してみることです。
これを意識するだけで、次のステップを考える際に迷いや不安を整理しやすくなります。
フリーランスや副業は、スキルや得意分野を活かして働くことができます。
ブランクがあっても、クラウドソーシングやプロジェクト単位の仕事からスタートすることで、自分のペースで再挑戦が可能です。
参考:厚生労働省|テレワーク普及促進関連事業
こんな人に向いている
注意点
ブランクがあると採用されにくいのでは?
ブランクがあること自体は、必ずしも採用に不利になるわけではありません。
近年は中途採用や再就職支援制度も充実しており、スキルや経験、やる気を伝えることが重要です。
参考:厚生労働省|求職者支援制度のご案内
ブランク期間のスキル不足が心配です
資格取得やオンライン講座、短期の職業訓練などを活用すれば、ブランク中に得た知識やスキルをアピールできます。
自分の経験を整理して、どのスキルが仕事に活かせるかを具体的にまとめることが有効です。
参考:厚生労働省|キャリア形成支援
派遣やフリーランスは不安定なのでは?
収入や契約条件は正社員と比べると変動がありますが、家庭や生活リズムに合わせて柔軟に働けるメリットがあります。
最初は短期間の仕事から試すなど、リスクを抑えながら再スタートする方法もあります。
参考:厚生労働省|テレワーク普及促進関連事業
立ち止まっている間にキャリアが遅れるのでは?
立ち止まる時間は、将来の方向性を整理する大切なプロセスです。
無理に動くよりも、自分の状況や価値観を整理してから次のステップに進むほうが、長期的には納得感のある選択につながります。
ブランクがあることによる不安は自然な感情です。
大切なのは、不安を押し殺すのではなく、自分の状況や気持ちを整理して、選べる働き方を客観的に知ることです。
この記事で紹介したように、正社員、派遣・契約社員、フリーランス・副業といった働き方は、それぞれメリットもあり、ブランクがあっても選択肢として考えられます。
重要なのは、自分の生活状況、価値観、心身の状態に合わせて無理のない形でステップを踏むことです。
まずは「小さく試す」「情報を整理する」「自分に合った制度を活用する」といった行動から始めると、次の一歩も自然に見えてきます。自分に合った働き方を考える時間は、決して無駄ではありません。
立ち止まることで得られる整理や安心感は、再スタートをより納得感のあるものにしてくれるでしょう。