近年、多様な人材を活用する企業が増える中で、住宅・不動産業界においても女性の視点や能力を評価し、採用を活発化する動きがあります。しかし、業界全体としては依然として男性が多く、女性が働きにくい環境やキャリア進展の課題も指摘されています。
そこで本記事では、住宅・不動産業界における女性採用の現状や、女性を採用するメリットと具体的な採用戦略に焦点を当てて考察します。
住宅・不動産業界においては、多くのポジションで男性が主体となっており、特に、長時間労働や現場での厳しい環境が求められる職種では男性が多数を占めています。
中途採用市場も多くが男性求職者主体であり、女性の採用を積極的に進めている企業は少数です。
一方で、適切な男性求職者が見つからない等の事情から、女性の採用を拡大している企業も存在しています。
このような中、厚生労働省の「女性の活躍推進」に向けた取組施策集では、女性が少ない企業での働き方について、『女性に適した業務がないという先入観から、女性を受け入れるための取組や環境整備が不十分である』と述べています。
さらに、内閣府は「女性版骨太の方針2023」において、2025年までに上場企業における女性役員の数値目標を設定し、女性の積極的な採用と活躍を求めています。
これらの政府の方針を見ると、住宅・不動産業界企業も採用戦略の見直しが避けられない状況と言えるのではないでしょうか。
参考:厚生労働省「女性の活躍推進」に向けた取組施策集、内閣府男女共同参画局 女性版骨太の方針2023
住宅・不動産業界においても、女性の積極的な採用は多くのメリットがあります。
例えば住宅販売の場面では、最終購入決定権はしばしば女性が担っています。これは家庭で時間を多く過ごす側の意見が住宅購入に大きく関わるためです。
この状況を踏まえると、女性社員は顧客のニーズや考えに深く共感できる場合が多いです。それだけでなく、女性の視点を活かした顧客への提案が効果的となるケースも少なくありません。
住宅営業やインテリアコーディネーター、設計、リフォームアドバイザー、マンション販売といった職種では、女性の積極採用が有用と言えるでしょう。
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女性が持つコミュニケーション能力や協調性・注意力は、チーム作業をスムーズに進め問題解決に繋がります。
特に施工管理のような職種では、多くの人・部署との連携が行われるため、様々な問題を解決する能力が求められます。このような環境で女性の能力は価値ある資質となります。
女性の積極採用は、企業が男女平等や多様性を重視していることを示すもので、企業のイメージアップの要因となります。
顧客や求職者のみならず、広く世間からも好意的に受け止められることが期待できます。また、競合他社に対して一歩先んじた取り組みとなり、企業の競争力をさらに強化する要素ともなるでしょう。
内閣府男女共同参画局による報告によれば、なでしこ系企業(女性管理職の数・女性の働きやすさ等の一定基準を満たした企業)の中で、特に両立支援制度を整備している企業ほど、ROA(総資産利益率)が高いことが述べられています。
女性が働きやすい環境を作ることは、ただ社員が快適に働くだけでなく、企業全体の財務パフォーマンスにも明確に貢献すると言えるでしょう。
参考:内閣府男女共同参画局
先の報告によると、半数以上の投資家が企業の女性活躍の情報・動向をチェックしており、その理由として、約9割が「企業の業績や成長に影響があるため」と回答しています。
このことから、住宅・不動産企業でも女性の採用や昇進を進めることで、投資家からの評価が高まる可能性があります。
2022年4月に「女性活躍推進法」が改正され、女性が働きやすい職場づくりがより注目されています。
では具体的にどのような職場であれば、女性求職者は働きやすさを感じ、応募したくなるのでしょうか?
性別による待遇の差をつけず、能力や成果を評価が行われる職場では、女性も自信を持って働くことができます。
結婚・出産・介護といった生涯を通じて直面するライフイベントでも、環境が整っている職場は、求職者にとって長期的に安心して働ける環境に映ります。
具体的には、育児休暇や時短勤務制度、産休・育休後の職場復帰をサポートする風土などがその一例です。
キャリアアップのために、スキル取得のサポートや昇進に関する明確なガイドラインが存在する職場は、女性も自分のキャリアパスを計画しやすくなります。
職場全体で働き方の多様性を尊重し、男性社員も女性の働き方を積極的にサポートする環境は、求職者が自分もその中で働きやすいと感じ、魅力を感じる一因となります。
女性採用を成功させるためには多角的なアプローチが必要です。各項目に一つ一つ注意を払い、女性が働きやすい環境を整えることが必要です。
まず、女性が働きやすい環境を整えることが重要です。
特に住宅・不動産業界ではプロジェクトが長期にわたることも多く、ワークライフバランスを重視する文化、柔軟な勤務形態や福利厚生が求められます。
また、女性がスキルを高められるような教育・研修プログラムや、上司や先輩がキャリア形成をサポートするメンター制度を設けることも有効でしょう。
女性求職者をターゲットとする場合、多くの女性と接触し人脈を広げる機会を増やすことも有効な手段となります。具体的には以下のような方法が考えられます。
女性が活躍している事例を内外に発信することで、女性にとって働きやすい場所であるというイメージを高めます。
例として、社内のニュースレターで特集を組んだり、企業サイト・求人広告にインタビュー記事を掲載するなどして、成功している女性社員のストーリーを共有することも有効です。
面接プロセスでは女性の求職者に対しても平等かつ公正な評価が求められます。そのためにも、以下のようなアプローチが有用です。
性別に対する偏見やステレオタイプが評価に影響を与えないように、面接官トレーニングや意識づけを行います。
女性が抱えがちな問題(仕事と家庭との両立等)に理解を示し、企業側からも積極的に制度やサポート体制を説明します。
スキルや経験だけでなく、チーム内での適性やコミュニケーション能力も考慮して評価を行います。
当社のクライアントのある住宅関連企業では、設計や施工管理職に多くの女性が活躍しています。
しかし、その企業が唱える採用ポリシーは「女性が良い」というわけではありません。むしろ、「性別に関係なく、男性でも女性の働きやすい環境に抵抗がなければ歓迎」という方針を採っています。
この企業では福利厚生や長期休暇がしっかりと整っています。その結果、安心して長期間働ける環境が提供されているため、人材の定着率も高いようです。
重要なのは「女性だから、男性だから採用」という観点ではなく、「労働環境を整備し、男女問わず多様な人材が活躍できるようにする」ことが、長期的に採用成功につながると当社は考えています。
ユナイテッドマインドジャパンでは、住宅・不動産業界に特化した人材紹介を行っております。設計、営業、施工管理、インテリアコーディネーターなど、多岐にわたる職種での女性採用や女性役員候補の紹介も可能です。詳しくは以下のボタンからお気軽にお問い合わせください。