採用担当者や経営者にとって、採用活動は重要ながらも手間がかかる業務です。
特に住宅・不動産業界では専門性が求められるため、採用に至るまで多くの工数がかかります。主力業務へ負担を強いる場合もあるでしょう。
そこで今回は、採用工数を見直すべき理由や採用工数を削減・効率化する施策をご紹介します。
採用工数とは採用プロセスを完遂するために必要なステップ数を指し、母集団形成、求人広告の作成、書類選考、応募者管理、面接、入社前のフォロー等が含まれます。
採用工数と採用コスト(採用にかかる経費)は密接な関連性を持っています。採用戦略が不適切である場合、各ステップでの工数が積み重なり、最終的には採用コストの増加につながります。
採用工数を「見えないコスト」と言っても過言ではありません。
つまり、採用工数を自社にとって効率よく削減・改善することで、金銭的なコストを抑えるだけでなく、採用活動の質自体をも高められるでしょう。
住宅・不動産業界には様々な理由から、採用に多くの時間やリソースをかけない企業も少なくありません。しかしこのようなアプローチは長期的、短期的にリスクを招く可能性が高いです。
企業規模にかかわらず、人事や総務など非生産部門への投資が少ない・優先順位が低い企業では、採用工数も制限されがちです。
例として、営業を100人を募集するにも関わらず、人事担当が2〜3人というハウスメーカーもあります。
想定されるリスク
大手企業が広告や採用イベントに多額の費用を投じる一方で、中小企業では限られた予算と人員で採用活動を行わざるを得ません。
中小企業では特に、経営者自らが採用業務を手がける場合も多く、専任の人事担当者がいない企業では他の業務と兼任して採用活動を行う社員も見られます。
そのため常に様々な業務に追われ、他の重要なタスクも山積みという状況が日常化しています。
想定されるリスク
予算や人手の制約は多くの企業に共通する問題です。だからこそ、採用工数の効率化や現状の見直しは重要です。この取り組みは、単に時間やコストを削減するだけではなく、質の高い採用を目指すものです。
特に採用難と言われる住宅・不動産業界では、採用工数の効率化が重要な要素となります。その理由やメリットについて詳しく見ていきましょう。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」によると、2023年4月時点における全業種において、正社員が不足と感じている企業は51.4%という結果でした。
この状況は企業間での人材獲得競争を表し、優秀な人材は複数の企業からオファーを受けるため、より良い条件を出せる企業に流れる可能性が高くなります。
そのため採用工数の効率化は急務であり、実現すれば他社よりも早く優秀な人材と接触できる可能性が高まります。有効な採用プロセスの設計や選考基準の明確化を行うことで、自社にフィットする求職者を短期間で獲得できるようになるでしょう。
出典:帝国データバンク
質の高い人材から応募を増やす施策については以下の記事にまとめています。
採用活動を方向性を欠いて進めている場合、何度も採用プロセスを繰り返しても、時間や費用の無駄遣いが起こる可能性が高いです。例えば、求人広告を出しても適切な応募者が少なかったり、時間をかけて面接を重ねても採用率が向上しない等の問題が生じるでしょう。
採用工数を適切に見直し改善することで、得られた時間やリソースを他の重要な業務に集中できます。その結果、企業のコア業務が強化され全体として健全な運営に近づくでしょう。
採用に関する手間が減ることで、働きやすい会社づくりに着手する余裕も生まれます。たとえば社員のスキル開発や育成・トレーニング、福利厚生の向上といった領域での取り組みが強化されます。
長く定着する社員の増加とともに、社員満足度の向上やリファラルによる社員紹介等も期待できます。
採用の質とスピードを向上させるためには、採用工数の効率化が欠かせません。では、実現するためにどのような施策が有効なのでしょうか?本記事では6つの主要な施策を紹介します。
建築費高騰・人手不足・着工数減少といった業界特有の課題を考慮すると、採用の初段階での人材の選定が非常に重要です。誤った人材選定は採用工数を増やすだけでなく、業績にも直接的な影響を与える可能性があります。
そのためには、まず求める人材について明確に定義することが重要です。企業の目標や価値観から情報を集めてより詳細に人物像を描きます。
職種ごとに必要な能力や人物像は異なるため、チームあるいは企業全体での意思統一が必要になるでしょう。
次に、自社の魅力を効果的にアピールして関心を引く必要があります。求人広告の内容修正、掲載媒体を選び直しターゲット層に適した訴求を行うことで、より質の高い応募者を獲得できるでしょう。
自動返信機能(オートリプライ)を採用すれば、忙しい担当者でも短時間で応募者に反応できます。この機能はIndeedやEngageなど、無料で求人を出せるサイトでも利用可能です。
またWEB面接ツールは対面面接が不要となり、さまざまな地域からの求職者と簡単に接触できます。その他、日程調整ツールは採用担当者の予定・会議室の空き状況確認はもちろん、面接可能な時間帯や所要時間、応募者への通知も自動で送ることができます。
これらのツールは料金が無料から有料までと幅広く、企業の予算に応じて選べるのも大きなメリットです。
採用管理システム(ATS)は、求人の掲載から内定までの全プロセスを統合的に管理するツールです。求人情報の管理、応募者のトラッキング、選考プロセスの手続きといった多くの作業を効率化できます。中には中途採用にフォーカスしたサービスも存在します。
ただし、導入と維持にはコストがかかるほか、システム操作に一定の習熟が必要です。これらの要点を考慮して自社のニーズとバランスを見ながら導入を検討することが重要です。
採用工数や採用コストが比較的少ない手法としては、ハローワークや人脈を活用したリファラル採用が挙げられます。
ハローワークは、令和4年度では新規求職者数が458.6万件という実績からも、多くの求職者の目に留まる可能性が高いです。
ただし、求人掲載のルールが厳格であり、自社の魅力を十分にアピールしにくい等のデメリットも考慮する必要があります。
リファラル採用は社内外の人脈を活用する方法で、コストを抑えつつ信頼性の高い人材を見つけやすいでしょう。一方で、人材の偏り、採用に関わる社員の負荷の増加、人間関係の悪化等の注意が必要です。
出典:厚生労働省
人材紹介エージェントは、採用を検討している企業と求職者を専門的にマッチングさせるサービスです。具体的には、求職者の選定からスカウト、意志確認、企業への推薦、さらに内定者のフォローまで一連のプロセスを提供します。
住宅・不動産業界など専門性の高いスキルを必要とする場合、業界に特化したエージェントの利用は効果的でしょう。
しかし、エージェントは基本的に自社からの求職者のみを扱うため、他ルートからの応募者には対応していません。また、企業とエージェントとのやりとりが発生するため、採用工数の軽減には必ずしもつながらない場合があります。
人材紹介エージェントを最大限に活用するためには、自社の採用ニーズを明確に伝えることが重要です。
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採用代行(RPO)とは、企業が自社の採用活動の一部、または全部を外部の専門機関に委託することです。
委託できる内容は、求人媒体の選定と運用、スカウトメールの管理、応募者への対応、合否の連絡、説明会や面接のスケジューリング、リマインドや追跡連絡などが含まれます。どの採用フェーズを委託するかは自社でアレンジできます。
採用工数を削減して主業務に専念できる一方で、プロセスが不透明になりがちであり、企業内での採用に関するノウハウが育ちにくいという課題があります。
また、採用代行会社が業界特有のニーズや文化に不慣れである場合、最適な人材を見つけることができない可能性があるでしょう。
採用プロセスを効率化し、工数やコストを適切に削減する方法は多数存在します。自社に必要なものを適切に組み合わせ、最適な採用戦略を築くことが重要です。
ユナイテッドマインドジャパンでは、住宅・不動産業界に特化した人材紹介から、採用工数の改善・効率化のご相談も承っております。
自社の採用プロセスに課題感がある場合はぜひ一度ご相談ください。より効率的な採用活動の実施をサポートいたします。