住宅・不動産業界での顔採用の実情|リスクと企業が取り組むべき戦略

2023/09/14
住宅・不動産業界での顔採用の実情|リスクと取り組むべき戦略

住宅・不動産業界では、顧客との対面が頻繁に行われることから、採用において外見が一定程度重視されるケースも存在します。しかし、顔採用や外見に比重を置いた採用には潜在的なリスクも多く存在します。

本記事では、人材紹介サービスを提供する当社の視点から、これらのリスクにどう対処すべきか、また他の採用戦略とどう組み合わせるべきかを解説します。

顔採用の実態と住宅・不動産業界特有の側面

顧客対応が中心となる業界では、容姿端麗とまではいかないものの、相手に不快感を与えない外観と一定の清潔感が求められます。このような要素は、採用プロセスでの書類審査や面接時においても重要な評価基準となります。

こうした状況を踏まえ、住宅・不動産業界の採用担当者は「求職者の外観をどの程度考慮すべきか」という判断に直面します。特に、初対面の顧客にも安心感を与え、その後の商談にポジティブな影響を与えるためには、単に清潔感があるだけでなく、業界特有の信用や安全性をも体現するような外観が求められます。

その結果、求職者が第一印象で与える印象によっては、選考プロセスで早期にスクリーニングされるケースもあります。

あえて顔採用を積極的に活用した企業の事例

あえて顔採用を積極的に活用した企業の事例

別業界になりますが、化粧品ブランドを展開する企業では、新卒採用に「顔採用」を導入しました。ただしこのケースでは単なる容姿の評価ではなく、求職者が堅苦しいリクルートスーツや就職用の化粧に縛られず、自分自身の「個性」を存分に発揮できるような採用環境を提供することが目的でした。

この採用手法の導入により、エントリー数は一般採用を含めて前年比で2倍に増加しました。また、他業界からのエントリーも増加したことから、多様な求職者によって広く認知されたことが分かりました。

顔採用は法律でどのように扱われているか

顔採用は法律でどのように扱われているか

前述の企業は顔採用で成功を収めましたが、このアプローチは法的な危険性も無視できません。

日本の法律では、顔採用は現時点で明確に違法とされていないものの、厚生労働省のガイドラインでは「業務に対する適性や能力を基準に採用を行うべき」とされています。これは顔採用が法的に問題ないというわけではありません。
特に、日本国憲法第十四条に定められた「平等の原則」や、社会的な議論が進む中でのルッキズム(外見に基づく差別)に対する認識が高まる可能性を考慮すると、将来的に法的制約が強まる可能性もあります。

したがって、企業は現行法だけでなく、将来の法改正にも備えておくことが重要であると言えます。

出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」 日本国憲法「第十四条

採用担当者が知っておきたい顔採用のリスク

採用担当者が知っておきたい顔採用のリスク

現時点で外観を重視した採用は法律上明確に違法とされていないため、顔採用を実施している企業も実際に存在します。その上で、採用担当者が把握しておくべきリスクについて見ていきましょう。

優秀な人材のとりこぼし

外見や第一印象に重きを置く採用基準が過度になると、その他の要素(専門的なスキルや経験、チームでの協働能力、業績への貢献度など)が見落とされ、その結果として優秀な人材を採用しない、または見逃すというリスクがあります。

住宅・不動産業界で考えると、例えば施工管理、土地仕入れ、設計、工務、資産管理などは専門的な知識やスキルが必要です。これらのポジションでは、採用時に外見よりも業績や能力が評価の主要な基準となるべきでしょう。

企業イメージへの影響

この業界では、顧客との信頼関係が長期的なビジネスを支えています。顔採用が原因で、社内に公正な評価基準がないと受け取られた場合、企業としての信頼性や社会的評価が失墜します。

さらに、不公平な採用基準が外部に漏れた場合、SNSやマスメディア報道を通じて企業イメージが著しく損なわれるリスクがあります。

多様性不足で顧客支持が揺らぐ

近年は多様性とインクルージョン(多様性の尊重とその活用)が評価される傾向にあります。多様な人材を活かすことで、企業はより多角的な視点と問題解決能力を持つとされ、これが企業イメージにもプラスに働くことが多いです。

逆に多様性が欠如していると認識されると、

  • 企業が偏見に基づいて人材を選んでいる
  • 狭い視点しか持っていない

等の印象を与えかねません。企業イメージが損なわれ、特に若い世代や多様なバックグラウンドを持つ顧客からの支持を失う可能性があります。

顔や見た目だけにとらわれない採用戦略のポイント

顔や見た目だけにとらわれない採用戦略のポイント

ここまで考察してきたように、人材の選定においては一定の要素だけに依存するのはリスクが高いです。次のような多面的な評価基準の設定が求められます。

対面での求職者評価

書類審査においては、顔写真に基づいて求職者の初印象を得るケースが少なくありません。一定レベルの基準に達していないと判断した場合は、その後の選考を止める選択もあるでしょう。

しかし、顔写真だけでは測り知れない多くの要素が存在します。可能であれば、実際に求職者と面と向かい、直接の対話を通じて総合的な評価を行うと、専門スキルや適性、コミュニケーション能力なども詳細に把握できます。

選考基準の共有

特に、人材紹介エージェントなどに一部の採用プロセスをアウトソーシングする場合、時間差や誤解が生じる可能性があるため、事前に選考基準を明確に共有することが重要です。
また、採用に至らなかった場合も、その理由を含め共有するのが望ましいです。期待値のすれ違いや採用後のトラブルを減らすことができます。

具体的な人材紹介会社との連携方法や共有タイミング、人材紹介会社の効果的な活用については、以下の記事に詳しくまとめています。

選考基準の明確化

顔や見た目と同時に、学歴や過去の職歴・年齢だけを考慮する一面的な選考基準に依存すると、採用におけるリスクが高まる可能性があります。

よって、能力や適性、専門スキルなども考慮に入れた選考基準を設定し、自社がどんな人材を求めているのか、あらためて明確化しておく必要があるでしょう。

無意識のバイアスへの対策

面接官や採用担当者が持つ無意識のバイアス、特に見た目に関する先入観が評価に影響を与えることは少なくありません。採用プロセスで誤った評価にも繋がりうるため、是正するトレーニングは不可欠です。

企業内でトレーニングを行う場合は、既存の人事評価制度や教育プログラムに組み込むことが一般的です。一方で、外部の専門機関を利用する際には、その機関が提供するカリキュラムに従うことが多いです。

採用課題の解決はユナイテッドマインドジャパンまで

求職者と直接対話する機会を設け、多角的な選考基準を用いる

顔採用や一面的な評価基準に依存することは、採用プロセスにおいてさまざまなリスクを引き起こします。特に書面上と対面の印象は異なることも多いため、求職者を書類選考だけで判断するのではなく、実際に接して人柄も含め多角的な視点での評価が求められます。

このような採用課題に対し、専門サポートが有用なこともあります。ユナイテッドマインドジャパンは住宅・不動産業界に特化し、業界特有の採用ニーズに応えるパートナーとして、貴社の採用課題を解決します。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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