30代から40代のミドル層は企業の中核を担う重要な存在ですが、人材不足により、企業の成長が足踏みするケースがあります。
中堅層の不足問題には、採用の難しさやミスマッチなど様々な要因が絡んでいます。では、どのようにして適切な採用を行い、彼らを組織にしっかりと定着させることができるのでしょうか。
本記事ではミドル層が不足する背景、採用戦略について述べていきます。
ミドル層の人材不足で悩む企業は多く、住宅・不動産業界も例外ではありません。ここではまず、ミドル層の定義や人材不足の背景にふれていきます。
ミドル層とは一般に、35〜54歳までの中堅人材を指しますが、業界や企業、職種によっては、30〜40歳前後の人材をミドル層として扱ったり、管理職経験者をこの層に含めたりすることも少なくありません。「中間管理職(ミドル・マネジメント)」とも呼ばれることがあります。
ミドル層の人材は、経営層と一般社員の間でコミュニケーションを促進する重要な役割を果たします。彼らがこの役割を担うことで、リーダーシップスキルやマネジメント能力が深まり、将来的には上位の管理職としてのキャリアを築く土壌が形成されるのです。
ではなぜミドル層人材が不足しているのか、その背景を見ていきましょう。
厚生労働省によると、2023年(令和5年)6月の有効求人倍率は1.30倍となっており、労働市場全体での求人が求職者数を上回る状態が続いていることがわかります。このような売り手市場の状況下では、経験とスキルを持つミドル層人材の競争がさらに激化します。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年6月分)について」
ミドル層人材の不足は、新卒一括採用からジョブ型中途採用への移行にも影響を受けています。従来、企業は新卒者を一括で採用し、長期的に育ててミドル層を形成していましたが、特定のスキルや経験を求めるジョブ型採用が増える中で、新卒一括採用による人材プールの構築が困難になっています。
ポテンシャル重視の新卒採用ではミドル層人材の即戦力確保が難しいため、ミドル層前後での退職が企業にとって深刻な打撃となる場合もあるのです。
ミドル層人材の不足は、採用時のみならず、組織全体の機能とパフォーマンスにも影響を及ぼします。主に以下のような課題が見受けられるでしょう。
企業内の人材構成が若手とシニア層に偏り、ミドル層が空洞化するケースが増えています。企業の価値観、作業慣行などが次の世代に共有されないばかりか、若手社員にとっては、ミドル層が不在であると、自分たちの将来のキャリアパスが見えづらくなり、モチベーションの低下を招く恐れがあります。当社にもこのような課題を抱えた企業から相談が寄せられることがあります。
経験豊富なミドル層が不足すると、プロジェクトや部門の管理がうまく機能しなくなることがあります。マネジメントの役割は、戦略の立案から実行、チームのコミュニケーションと成長の促進に至るまで多岐にわたります。そのため、この役割を担うミドル層人材の不足は、組織全体の業績にも影響を及ぼすことがあるでしょう。
ミドル層人材の採用において、経歴と面接の結果から適任と判断し、高い給与で採用することが時に失敗につながることがあります。
その反動で次回から低い給与でのオファーを試みると、採用候補者に拒否される場合も生じるでしょう。市場価値が高く評価されるミドル層人材に対し、企業側の提示額が見合わないと、スムーズに採用が進まず、組織全体への影響も考慮する必要があります。
ミドル層人材の不足により生じる企業の課題に対処するには、採用活動を開始する前に、具体的な戦略が求められます。以下では、効果的にミドル層人材を採用するための施策を解説します。
企業に長期間留まり活躍する人材は、文化や価値観に適合していることが多いです。企業が採用時に重視すべきことの一つが、社風に合った人材を確保する能力を高めることです。そのためには、採用要件の再評価を通じて、企業のビジョンやミッション、価値観に合う人材の特性を明確にし、採用基準を最適化する作業が求められます。
人材と企業文化のミスマッチは、組織内での摩擦や不協和音を生む可能性があるため、このプロセスは慎重に進めるべきでしょう。
採用の成功確率を高めるためには、経験役職だけを参照するのではなく、具体的な業務経験と特定のスキルに対する要件を明確にすることが不可欠です。
例えば住宅・不動産業界において、ミドル層が担うべきプロジェクトの経験(大規模開発プロジェクトのマネージメント経験)、マネジメントスキル(チームリーダーシップや予算管理)、業務理解能力(市場分析、契約交渉などの専門知識)などを事前に定義することで、採用プロセスにおけるミスマッチのリスクを低減します。
採用基準の明確化は重要ですが、一方でハードルが高すぎると多くの有能な人材を見逃す恐れがあります。
例えば、必要以上に高い学歴要件や過度な専門スキルの要求は、実際の業務に必要ない場合があります。採用ハードルを見直し、企業の実際のニーズと市場の人材供給に合ったレベルで設定することで、より適切な人材を見つけられるでしょう。
住宅・不動産業界では、プロジェクトごとの責任やマネジメントの役割が重要ですが、「名ばかり管理職」や職の責任に対して報酬が見合っていない場合があります。これらのミスマッチは人材の離職を招く可能性があります。各職の権限と責任、プロジェクトの規模や複雑性に応じた報酬が適切に設定されているかの再評価が重要です。
なお、採用が成功しても、人材の定着を図らなければ意味がありません。教育制度の強化やメンタリング、キャリア支援など、人材が長く働きたいと感じる環境作りが必要です。定着率の向上は、人材の満足度と生産性の向上に直結し、結果的に企業全体の成長に貢献します。
定着率の向上については以下の記事をご参考ください。
前述した採用活動の事前準備に注力した上で、ここからはミドル層人材を採用するための効果的な手法について解説します。
社内の若手層からの管理職登用は、社員のキャリア向上に役立つだけでなく、新役職への迅速な適応が期待できます。候補者の評価は欠かせませんが、昇格条件には注意が必要です。
例えば「転勤の受け入れ」が条件であれば、活躍の場を狭める恐れがあります。企業は条件を柔軟にし、挑戦できる環境を提供すべきです。完璧なスキルを持たない若手でも、研修やメンター制度で管理職育成が可能です。
リファラル採用は、既存社員が推薦する人材を採用する手法です。企業の業務内容や社風を理解した社員の推薦により、企業文化に合致した人材の採用が期待できます。特にミドル層人材の場合、業務の専門性やリーダーシップが求められることが多いため、信頼できる社員の人脈を活用することで、これらのスキルと企業の文化に合った人材を効率的に探すことができます。
ただし、推薦者と候補者の関係が強すぎたり、推薦に対する報酬が大きすぎると、公平な評価が困難になる可能性があるため、選考プロセスを透明かつ公正に構築する必要があります。
人材紹介サービスでは、会社によって様々な手法が用いられます。自社媒体で求職者を集める方法から、スカウトやヘッドハンティングを用いて直接候補者にアピールする方法に至るまで、多岐にわたる手段が存在します。
中でも、スカウトは広範な候補者へのアプローチが可能であり、ヘッドハンティングは、特定の経験や実績を持つミドル層人材に対しても効果的です。
ただし、これらの方法を実施する際には、選ぶサービスによって費用対効果が異なることがあるため、信頼性や実績を考慮して選定する必要があります。
ユナイテッドマインドジャパンは住宅・不動産業界に特化し、各企業の特性に応じたミドル層人材の採用支援を提供しています。専門性を有するミドル層人材とのマッチング、採用後の定着サポートなど多岐にわたる支援が必要であれば、お気軽にご相談ください。
経験を積んだ優秀なミドル層人材は、住宅・不動産業界における企業成長の鍵を握る重要な要素です。しかし、多くの企業がこの層の人材を求めるため、転職市場に出てくるケースが少なく、狙い通りの採用が困難になるのが現状です。
ユナイテッドマインドジャパンのサービスでは、企業の課題やビジョンに合った人材獲得を全力でサポートし、稀少な人材との適切なマッチングを実現します。
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