2024年、建設業界は働き方改革関連法の全面施行という節目を迎えます。これは全業界に影響を及ぼし、特にリフォーム市場では具体的な対策が求められています。本記事では、これらの課題とその対策について、人材紹介サービスの観点から提案します。
建設業界は「2024年問題」と呼ばれる人手不足と労働時間規制の厳格化という問題に直面しています。具体的な例として、2025年の大阪・関西万博の建設工事を考えてみましょう。
このプロジェクトを予定通りに進行させるためには大量の労働力が必要ですが、人手不足と厳格な労働時間規制が障害となっています。そこで万博協会は、政府に対して時間外労働の上限規制の適用を遅らせるよう要請したと報告されています。
このような人手不足の状況下では、リフォーム市場のみならず、新築住宅を扱うハウスメーカーでも人材確保が一層困難になると予想されます。
「建設業2024年問題」の詳細については以下の記事でまとめています。
建設業界が抱える深刻な人手不足は、有効求人倍率からも明らかです。
令和5年5月の有効求人倍率は全体で1.31倍、それに対し建設・採掘従事者は5.54倍、建設躯体工事従事者は10.25倍、その他の建設業(建設躯体工事除く)は5.05倍に上ります。
建設躯体工事従事者の倍率が10.25倍ということは、10の求人に対して1人の求職者しかいないという状況を示しています。
求職者が少ない状況は、企業が質の高い人材を確保するのが困難になるだけでなく、それがプロジェクトの進行や品質に影響を与えるリスクをもたらします。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年5月分)」
前述した通り、人手不足はプロジェクトの進行に影響を与え、結果として遅延や品質の低下を引き起こします。特に建設業界ではスケジュール管理が重要となるため、人手不足は大きなリスクとなります。これは住宅・不動産業界の企業にとっても深刻な問題です。
例えば、不動産開発においても、適切な人材が確保できない場合プロジェクトの進行に影響を及ぼすことがあります。開発計画の立案、許可申請の手続き、建設管理など、各工程で専門的な知識や技術が必要となるためです。これらの遅延や障害は、住宅・不動産業界の企業にとって大きな財務的なリスクを生じさせます。
一方で、リフォーム市場は多様な要因により、拡大の一途を辿っています。在宅ワークの定着化に伴うリノベーション需要、空き家の増加による活用の動き、住宅の長寿化に伴うリフォームの必要性、さらにはコロナ禍で生じたライフスタイルの変化など、これらはすべてリフォーム市場の成長を支える要素となっています。
しかしながら、建設業界全体で見られる人手不足の問題が、拡大するリフォーム市場にも影響を及ぼしています。市場の拡大に対応する人材供給が追いつかず、リフォーム市場でも人手不足問題が深刻化しています。この状況は、リフォーム業者にとっても、リフォームを検討している家庭にとっても大きな課題となっております。
リフォーム市場の拡大に伴い採用・人材確保は重要な課題ですが、人手不足問題を克服し組織の成長を遂げるためには人材戦略が必要不可欠です。ここでは人材戦略の具体的な方向性について考察します。
人材獲得の選択肢を広げるために、職種未経験者や業界未経験者の採用は重要な手段であり、他業界で得た経験を活かし、新たな視点をもたらす可能性があります。
経験者にのみ焦点を当てると、候補者のプールは必然的に限られてしまいますが、未経験者も対象にすることで、より多くの応募者や面接候補を得られます。これまで接触が難しかった人材層にもリーチ可能となり採用選択肢は大幅に広がるでしょう。
現代の雇用形態は多様化しており、従来のメンバーシップ型雇用だけでなく、特定の専門知識を持つジョブ型雇用の重要性が増しています。加えて40代や50代といった中高年層の雇用も見直されており、定年後の再雇用を含む柔軟な雇用形態の導入はリフォーム業界でも増えてきています。
以下の記事もご参照ください。
近年、女性の視点や感性を活かした営業戦略が注目を浴びており、リフォーム業界もその流れを追っています。特に内装や設備といった部分では、女性の視点が重要となる場面が多く、女性が営業として活動することで顧客との同一視が促進されます。
例えば、大手ハウスメーカーのリフォーム部門では、約6割以上が女性という高い女性比率を実現しています。女性の共感力を最大限に引き出すための環境設定が行われており、研修制度の導入や勉強会の開催を通じて、女性が能力を最大限に発揮できる環境を提供しています。
前述した各採用戦略を実行する上で、採用を成功するには具体的な要素が求められます。人手不足という課題を乗り越え、競争力ある組織作りを進めるためには採用企業は何をすべきでしょうか?次に探ります。
採用活動において、訴求ポイントを明確に言語化することは必須です。特に経験者や有資格者の人材獲得は競争が厳しく、企業としては自社の魅力を的確に伝えるため、訴求ポイントを明確にすることが不可欠です。
訴求ポイントの例として「勤務形態」「報酬体系」「企業理念」「職場文化」「能力開発・教育環境」などがあります。これらを具体的に説明し、求職者が入社後に働き方を具体的にイメージできることが採用成功に繋がるポイントです。
企業の魅力を潜在的な応募者に伝え、自社を選んでもらうための広報活動は採用成功において重要な要素であり、企業の知名度向上や、早期退職の防止などの効果が期待できます。
自社メディアやSNSの活用は効果的な手段で、広告費を抑えつつ、多くの応募者に自社の魅力を伝えることが可能です。このようなデジタルメディアの活用は、今後ますます重要性を増すと考えられます。
優秀な人材を確保するためには、ハローワークのみならず、転職サイト、リファラル採用、人材紹介、ヘッドハンティングなど、多岐にわたる採用手法を適時に組み合わせることが重要です。採用の幅を広げ、企業の具体的なニーズに合わせて選択することで、最適な人材を見つけることが可能になります。
特に、人材紹介サービスは各種業界のニーズに対応可能な一方で、特定の業界に深い知識と経験を持った専門的なサービスも存在します。
ユナイテッドマインドジャパンはその中でも、住宅・不動産業界を得意としており、関連するリフォーム業界とも深い結びつきがあります。これらの業界特有のニーズを理解した上で、企業と求職者双方にとって最適なマッチングを目指します。
本記事を通じて、2024年問題と住宅・不動産業界、特にリフォーム業界での人材確保の課題について考察しました。これらの課題は困難ではありますが、前向きに取り組むことで新たな可能性と成長の機会を探る契機ともなります。
住宅・不動産業界に対して、ユナイテッドマインドジャパンは専門的な人材紹介サービスを手掛けており、業界特有のニーズを理解した上で、企業と求職者双方にとって最適なマッチングを追求します。
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