2020年初に始まったコロナ禍が落ち着きを見せるにつれ、2023年の中途採用市場は新たな動きを見せました。
採用活動を縮小・中断していた住宅・不動産企業でも、人材の確保と定着がこれまで以上に重要な課題となり、企業は採用戦略の見直しを迫られています。
本稿では、現在の中途採用・転職市場動向と住宅・不動産企業が直面するであろう課題、そしてこれからの採用戦略について深掘りしていきます。
株式会社マイナビが発表した「中途採用状況調査2024年版」によると、2023年における企業の中途採用では年間平均採用人数が21.8人に達し、過去最高を記録したことが明らかになりました。
しかしこの裏側には企業が直面するであろう課題も存在します。以下からデータと共に詳しく見ていきましょう。
出典:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」
※調査対象:従業員数3名以上の企業において、2023年1~12月に中途採用を担当し「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者1,400名
同調査によると、採用人数の増加と並行して「退職者数」も前年比より増加しました。
しかし、退職者数に対する採用人数の割合を算出した結果、23年は139.2%となり、中途採用による欠員の充足ができていることがわかりました。
この数字は一見ポジティブに見えますが、人材の流動性と定着率の問題も見え隠れしています。
企業は単に人材を採用するだけでなく、いかにして彼らを組織に留め、長期的な活躍を促すかが重要な課題となっています。
23年の中途採用費用は、全業界の年間平均は629.7万円(前年比55.8万円増)でした。
中でも「IT・通信・インターネット」業界が998.5万円でもっとも採用費用が高く、採用競争が激しいことが明らかになっています。
対照的に住宅・不動産業界の中途採用費用は約532万円で、採用人数は15.9人でした。このことから、業界によって採用への投資額に顕著な差が存在することが分かります。
一般的に、IT系業界のように採用に多額を投じる企業群は、高い給与水準を提供する傾向にあります。
住宅・不動産業界からも資質の高い人材が高待遇を求め、他業界へと流出する可能性が高まっていることを考えると、採用戦略と予算配分の見直しが求められるでしょう。
昇進・昇格のスピードについての調査では、「新卒採用者の方が優位」とする回答が38.8%、「中途採用者の方が優位」とする回答は11.6%であり、もっとも多い回答は「優位性に違いはない」の43.3%で、中小企業でその傾向が強くなりました。
新卒と中途の間で生じる格差は企業の課題の一つで、組織全体のモチベーションや満足度に影響を与える恐れがあります。
住宅・不動産業界でも、全従業員が公正な評価を受けられる環境をどのように構築するかが重要な課題となっています。
初任給の引き上げリスクについては、以下の記事にもまとめているので参考にしてください。
ここからは中途採用市場の現状をふまえ、今後住宅・不動産企業ができる採用戦略について考えていきましょう。
これまでの企業の採用活動は、顕在層(すでに転職活動を始めているか、近いうちに転職を考えている人)へのアプローチが主流でした。
しかし、潜在層(現時点では積極的に転職を考えていないが、機会があれば将来的に転職を検討する可能性のある人)へのマーケティングは、長期的な視点で企業のブランド認知や魅力を構築することにつながります。
例えば、SNSや自社採用サイト等のチャネルを通じ、企業文化やバリューを積極的に発信することで潜在層が自社を第一に想定する可能性も高まります。
これは企業にとって大きな競争優位になるでしょう。
人手不足が叫ばれる昨今、質の高い人材が他の企業・業界へ流れるのを防ぐには、応募から内定までのプロセスを透明かつ迅速に進めることは必須です。
これには候補者の不安を軽減し、ポジティブな印象を与えるメリットもあります。
また、採用プロセス中のコミュニケーションを密にすることで、候補者との信頼関係を構築し、他社との競合時にも有利に働くでしょう。
転職が一般化し終身雇用が希薄になる中で、年齢や勤務年数だけで昇進・昇格を決定していた従来の制度では、人材の定着やモチベーション維持が非常に難しくなっています。
特に住宅・不動産業界においては、古くからの慣習を重視する企業も依然として多く存在しますが、能力や実績に基づいた公平な評価制度への転換が求められています。
従業員の能力を正しく評価しキャリア成長の機会を提供することが、長期的な人材定着と企業成長のために不可欠です。
コロナが終焉した現在も、ワークライフバランスの重視や柔軟な働き方へのニーズは高まっています。
テレワークやフレックスタイム制度の導入やプロジェクトベースでの雇用オプションの提供等、多様な働き方を受け入れることで、より幅広い人材層からの応募を促すことができるでしょう。
同時に人的コストの改善にもつながる可能性もあります。
現在、中途採用市場では、企業間での激しい人材獲得競争と人材の流動性が見られます。
高い欠員充足率にも関わらず人手不足は続く見込みで、求める人材の確保はさらに難しくなるでしょう。
ユナイテッドマインドジャパンでは、激化する採用市場の中で、貴社の人材戦略支援を目指します。
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