日本の労働市場は、転職希望者が1000万人を超えるという前例のない状況に直面しています。
しかし、これを逆手に取り採用戦略を賢く見直すことで、住宅・不動産企業でも優秀な人材を確保するチャンスがあります。
この記事では、転職希望者が増えている現状を踏まえ、特に中小規模の企業が直面する課題と、優秀な人材を獲得するための具体的な施策について解説します。
総務省の2023年の労働力調査によると、転職等希望者(就業中だが将来的に別の職に就きたいと考える転職潜在層を含む)が1007万人に達したことが明らかになりました。
このうち、実際の転職者数は328万人でした。
このことから、転職を希望しながらも実際に新しい職に就けたのは、希望者全体の約33%に過ぎず、約7割の希望者が望む職につけていない状況であることがわかります。
言い換えれば、多くの企業において採用がスムーズにいっていないことを示唆しているでしょう。
実際当社にも多くの住宅・不動産企業から採用に関する相談が寄せられており、転職等希望者と企業間にはニーズや期待の不一致があることがうかがえます。
参考:総務省統計局「 労働力調査(詳細集計)2023 年(令和5年)平均結果」
転職を考えている人が1000万人を突破した背後には様々な変化があります。以下から詳しくみていきます。
現代の転職市場では、転職がかつてのように大きなリスクと捉えられることが減り、キャリアアップやライフスタイルの改善のための手段として捉えられるようになっています。
特に転職サイトや企業口コミサイト、SNS等が普及するにつれて、企業情報や働き方の透明性が高まり、転職活動が以前よりもずっとカジュアルなものとなっています。
若年層を中心に、自分らしく生きること、多様性を認める社会への願望が強まっています。
これまで日本では、長時間労働や終身雇用が美徳とされてきましたが、現在ではワークライフバランスの重視や、充実感ややりがいを求める価値観への変化が見られます。
これに応える形で、一部の大手企業は従業員の働き方や福利厚生を見直し、より柔軟な働き方を支援する方向へシフトしていますが、すべての企業が対応できるわけではありません。
特に中小企業では、コスト面や様々な制約からこのような変化に追いつくのが難しい状況にあります。
日本の終身雇用制度は長年、雇用の安定を支えてきましたが、経済環境の変化や海外企業との競争が激しくなる中で、この制度を継続することが難しくなっています。
2019年に、経団連会長やトヨタ自動車のトップが終身雇用について「継続が困難」と述べ、制度の見直しが必要であるという認識を世間に示しました。
これに続く形で、一定数の企業が従来の雇用形態からジョブ型等の働き方への移行を進めています。
転職希望者や求職者にとっても新たなキャリアを考える機会となり、より自分にマッチする仕事を探す一因となっているのです。
中小企業が採用で直面する大きな問題の一つが、市場における自社の認知度の低さです。
一般的に、転職希望者は大手や知名度の高い企業に先に関心を示す傾向があり、その他の企業は見過ごされやすい状況にあります。
その結果、十分な応募者が獲得できず、自社に合った人材を見つけることが難しくなります。
潜在的に適した応募者がいるのに、自社を知らないために応募できないことは、企業にとっては大きな機会損失となります。
厳しい採用条件は、空いたポジションが長期間埋まらない原因となるだけでなく、柔軟な採用基準を設ける他社に人材が流れることが懸念されます。
仮に企業が採用基準を緩和しようとしている場合でも、その意図が求人情報の表現や構成に十分に反映されていないことがあります。
求人を公開する前に、内容が明確かつ候補者にとって魅力的に伝わるよう見直しを行うことが重要です。
自社に最適な人材を選ぶために複雑な選考フローやプロセスを設定することは理解できますが、その結果、選考が長期間にわたると、優秀な候補者が他社のオファーを受け入れてしまうリスクが高まります。
特に以下のような状況は、迅速な転職を希望する人材にとって待ち時間が長すぎると感じさせる原因になります。
人手不足の現代において、選考プロセスの迅速化と効率化は特に重要です。
適切な人材を逃さないために、選考プロセスを見直し、可能な限り迅速かつ効率的に進める必要があるでしょう。
転職希望者の数が増加する中で、住宅・不動産企業が直面している採用の課題は多岐にわたります。これらの課題に対処するためには、効果的な採用戦略が必要不可欠です。
ここでは特に中小規模の企業に向けた対策をまとめました。
現在の転職市場では、転職希望者から一番に求められる企業を目指すべきです。
そのためには、大企業が実施している広範なプロモーション活動とは異なり、より戦略的に企業ブランドを打ち出すことが求められます。
業界イベントやオンラインセミナーでの積極的な参加や地域社会への積極的な貢献は、イメージを向上させるだけでなく、企業の価値観に共感する人材を惹きつけるのに役立ちます。
大手企業と比較した場合、待遇面での差は否めません。しかし他業界を含めた近隣企業との比較を通じて、市場の水準に即した改善を図ることは可能です。
これに加え、自社独自の強みや魅力を効果的にアピールすることで、待遇面のハンデを補うことが重要です。
例えば、住宅営業なら「車両持込み必須だが、車両手当が充実している」という点や、「営業経験を有する若手には面接を保証する」といった条件は、他社との差別化ポイントとなり得ます。
重要なのは、自社の強みを誇張することなく誠実かつ具体的に伝えることです。
求職者が実際に入社して期待を裏切られることがないよう、現実的かつ魅力的な条件を提示することが、長期的な人材確保に繋がります。
中途採用では、限られたリソースの中、競合他社に優秀な人材を奪われないためにも選考プロセスの迅速化が求められます。
面接回数は最小限に抑え、可能であれば同日に実施する等の方法を検討します。
応募確認後は速やかに応答をし、当日中または翌日までには必ず連絡を取るように心がけます。特に初回の面接設定は応募から1週間程度で行うのが望ましいでしょう。
採用管理ツールは、応募者ごとの状況を正確に把握し、返信漏れや情報の見落としを防ぐことができます。
リマインダーやデータ管理機能を通じて、応募者に迅速かつ適切な対応を実現できます。
採用活動を成功させるには、質の高い候補者をどう集めるかにかかっており、特に現在の人手不足の状況下では、従来の採用枠を超えた柔軟な思考が求められます。
異業界からの転職者や中高年層など、多様な背景を持つ人材を採用することも、母集団の拡大に繋がるでしょう。
自社であらゆる手を尽くしても、採用に繋がらない場合は外部の採用支援サービスも一つの解決策でしょう。
人材紹介サービスは、企業のニーズに合った候補者や専門性が高いポジションをスピーディーに見つけたい際に有効です。
一般的に、採用決定時は理論年収の一定割合をエージェントに支払うことになりますが、長期的に見た場合の投資効果は大きいでしょう。
採用プロセスの一部または全部を委託し、内部リソースを削減したい場合は採用代行がおすすめです。
企業文化や社風、価値観を完全に伝えることは限界があるかもしれませんが、採用がピークを迎える時期に企業の負担を軽減する効果が期待できます。
採用コンサルティングでは、企業の採用活動に必要なノウハウが欲しい場合に有効です。
採用業務全般のサポート、課題の特定、戦略立案、さらには人事担当者向けの研修等が含まれます。
料金体系は通常プロジェクトベースで設定され、数十万円から数百万円の範囲で変動することが一般的です。
ユナイテッドマインドジャパンでは、選考プロセスの最適化をサポートし、効率的な人材採用を実現するサービスを提供しています。
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時代の変化に伴い、転職市場は今後も拡大を続けると予想されます。
この動向を踏まえ、住宅・不動産企業も効果的な採用戦略を構築し、計画通りに自社に合致した人材を採用することが求められます。
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