施工管理の資格とは？おすすめの資格や取り方、実務経験が必要か解説

「施工管理の仕事に興味があるけど、資格や実務経験がないと転職できないのか？」と不安に思っている人もいるかもしれません。

実は、住宅業界では資格や実務経験がなくても転職ができるケースがあります。

未経験からでも、入社後に研修を受けながら経験を積み、働きながら資格を取得するサポート体制も充実しています。

この記事では、施工管理を目指す上で資格がなくても転職できる理由や、資格取得でキャリアアップを可能にする点を解説します。

施工管理の資格の取り方や難易度、取得するメリットも紹介するので、参考にしてください。

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施工管理に転職するには資格や実務経験が必要？

一般的に、住宅メーカーでの施工管理（現場監督）は、資格がなくても未経験からスタートできます。
「施工管理士」と「現場監督」は同じ職種で、業務内容に大きな違いはありません。どちらも作業員への指示や資材発注、工程管理など、建築現場全体の管理を担当します。違いは施工管理技士の資格を持っているかどうかです。

一般的に住宅メーカーでは、入社後の研修で基本的なスキルを学び、実務経験を積みながら成長していきます。資格取得支援制度を設けている企業も多く、キャリアアップのために施工管理技士の資格取得を目指すことができます。

ただし、マンションやビルなど大規模な建築物では、法律で施工管理技士の設置が義務付けられているため、資格保有者が必須となります。

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施工管理技士はどんな資格？

施工管理技士とは、建設現場の工事管理を担当する国家資格で、現場の進行管理や安全管理、品質管理を行う技術者のための資格で、試験に合格することで取得可能です。

建物が設計図通りに作られているか、安全に工事が進んでいるかなどを確認し、問題があれば対策を講じます。資格を所持していると、安心してプロジェクトを任せられる人材の証明となるため転職活動を有利に進められます。

施工管理技士資格の受験資格と試験内容

ここからは施工管理技士資格試験の具体的な中身を見ていきましょう。

受験資格

令和6年度から施工管理技士試験の受検資格が見直され、新たな要件が適用されます。これに伴い、令和10年度までの間は、制度改正前の受検資格要件に基づく第二次検定の受検も可能な移行措置が取られています。

• 1級施工管理技士

第一次検定（学科試験）：19歳以上（受検年度末時点）であれば受検可能

第二次検定（実地試験）：第一次検定合格後、一定期間の実務経験を経て受検可能

• 2級施工管理技士

第一次検定（学科試験）：17歳以上（受検年度末時点）であれば受検可能（※以前と変更なし）

第二次検定（実地試験）：第一次検定合格後、一定期間の実務経験が必要

試験の内容

施工管理技士の試験は、学科試験（第一次検定）と実地試験（第二次検定）の2段階で構成されています。

学科試験（第一次検定）

学科試験は主に筆記形式で、建築施工に必要な基礎知識から実務知識まで幅広い内容が出題されます。試験はマークシート方式が中心で、施工計画や安全管理、建築法規など、施工管理技士として必要な知識が問われます。

実地試験（第二次検定）

実地試験では、現場の実務に即した記述式の問題が出題され、具体的な対策や改善案などを記述することが求められます。実地試験を受けるためには、学科試験に合格した後、所定の実務経験を積む必要があります。この経験年数は学歴や専攻によって異なります。

なお、最新の要件については、国土交通省や試験実施機関の公式サイトで確認することをお勧めします。建築施工管理技士・電気工事施工管理技士の場合は「建設業振興基金」が指定機関となっています。

参考：国土交通省　一般財団法人建設業振興基金

施工管理技士の資格一覧と難易度

施工管理技士の資格は7種類あり、ここでは住宅・不動産に関連した3種類をピックアップしました。それぞれ1級と2級に分かれており、1級が大規模プロジェクト、2級が小規模な現場に適しています。

資格名	難易度	資格の詳細
1級建築施工管理技士	高い	大規模な建築工事（商業施設やマンションなど）の現場管理を担う
2級建築施工管理技士	やや高い	住宅や小規模な建物などの施工管理を担当する
1級管工事施工管理技士	高い	主に大規模なビルや工場などの設備工事の管理を担当する
2級管工事施工管理技士	やや高い	主に小規模な管工事（住宅や小規模ビルなどの給排水、空調工事）に対応する
1級電気工事施工管理技士	高い	大規模な電気設備工事の管理に携わる
2級電気工事施工管理技士	普通	小規模な電気工事（住宅や小規模ビルなどの電気設備工事）の管理に対応する

学習時間は目安になりますが、2級は300〜500時間、1級が600時間以上です。学習時間の目安からもわかるように、施工管理技士の資格試験は、1級も2級もどちらも一朝一夕で合格できる資格ではありません。

実務に基づいた深い知識と問題解決能力が求められるため、早めの対策が合格の鍵となります。

1級建築施工管理技士の難易度

1級建築施工管理技士は、第一次検定と第二次検定の合格率がともに4割〜5割で推移しており、難易度が高い試験です。特に第二次検定では、経験記述問題が難関とされており、受験者の実務経験と専門知識が問われます。

過去5年間（2019年〜2023年）の第一次検定の平均合格率は43.6％で、年度ごとに36.0％から51.1％まで変動しています。独学での合格も可能ですが、出題範囲が広いため、万全の対策で挑んでください。

第二次検定の平均合格率は46.1％で、記述式の試験であるため、専門知識に基づいた深い学習が必要です。

2級建築施工管理技士の難易度

2級建築施工管理技士は、第一次検定と第二次検定の両方で60％以上の得点が必要です。両方の試験を一度で合格できる確率は10％前後とされており、計画的な学習が合否の分かれ目です。

過去5年間（2019年〜2023年）の第一次検定の平均合格率は39.7％で、なかには合格率50％を超えた年もあります。一次試験は「前期」と「後期」に分かれていますが、どちらか一方を受験すれば問題ありません。

第二次検定の平均合格率は35.1％で、記述形式のため専門知識を深めた準備が必要です。2022年には特に高く53.1％の合格率を記録しています。

施工管理技士の資格を取得するメリット

施工管理の資格を取得することにメリットはあるのでしょうか？資格取得で得られるメリットは以下の通りです。

それぞれ解説するので参考にしてください。

年収アップが狙える

資格を取得すると、資格手当や昇給のチャンスが広がるため、給与や年収アップが狙えます。特に1級施工管理技士は需要が高いので、収入が大幅に上がる可能性があり、無資格者に比べて100万円以上差がつくケースもあります。

月々数万円の資格手当が支給されるだけでなく、資格取得が管理職への昇格の条件のケースも多いため、昇進で給与アップも可能です。

監理技術者や主任技術者になれる

1級施工管理技士は、大規模なプロジェクトの監理技術者として、プロジェクト全体の管理責任者として活躍できます。一方、2級施工管理技士は、主任技術者として現場の責任者を担えます。

監理技術者や主任技術者として働くことで、責任があるポジションに就ける機会が増え、キャリアアップの道が広がるでしょう。

転職しやすい

施工管理技士の資格は、転職の際の強力な武器となります。

住宅業界・建設業界では資格保有者含めて人材が不足している傾向があり、即戦力として高く評価されます。2級施工管理技士でも即戦力となるため、転職活動時に資格を持たない人材と比べるとかなり有利といえるでしょう。

施工管理技士の資格を持っていることで、以下の業界や企業に転職しやすい傾向にあります。

建設会社（ゼネコン）

大手ゼネコンや中小規模の建設会社では、建築や土木の施工管理を担える資格者は常に必要とされています。特に現場での品質管理や安全管理のスキルが重視されるため、施工管理技士は即戦力として評価されやすいです。

ハウスメーカー

住宅やリフォームを専門とするハウスメーカーも、施工管理技士を求める企業が多いです。住宅の施工現場管理やお客様対応など、幅広い業務で資格が活かされ転職先として非常に人気です。

建築設計事務所

設計段階から現場に携わりたい場合、設計事務所への転職も選択肢の一つです。特に資格を持つことで、実際の施工が絡むプロジェクトでの即戦力とみなされやすいでしょう。

設備工事会社

電気工事や管工事などの設備系施工管理会社も、施工管理技士の資格を持つ人材を必要としています。工事現場での施工監督としての役割があり、資格があることでよりスムーズに業務を担当できます。

不動産管理会社

ビルやマンションなどの修繕や管理計画にも有資格者は重要な役割を担います。不動産管理会社への転職は、修繕や管理を含む幅広い経験が積めるため、キャリアアップにもつながります。

公務員・自治体職員

国や自治体が行うインフラ整備や公共工事の施工管理を担う技術職も、資格保有者にとって有利な転職先です。公共事業の品質向上や予算管理の面で資格が活かされるため、特に安定した職業を望む方に人気です。

住宅業界への転職でのおすすめ資格は建築施工管理技士

住宅業界への転職を視野に入れているなら、７種類の中でも「建築施工管理技士」の取得がおすすめです。転職で有利になる理由は以下の通りです。

需要が高く将来性がある

建築施工管理技士は、都市部の再開発やインフラ整備が増えている現状で、高い需要を誇ります。

特に都市部や再開発エリアでのマンションや住宅建設の増加に伴い、資格を持った施工管理者が求められており、即戦力として活躍できる場が多いのが特徴です。

また、建設現場には「施工管理技士がいないと進められない」ケースも多く、専門性のある資格者が不足しているため、住宅業界でのニーズは今後も継続して高まる見通しです。

10代でも受験資格がある

建築施工管理技士は令和6年より10代からの資格取得が可能で、早期に住宅業界でキャリアの基盤を築けます。資格取得が早いほど現場でのリーダー経験を積む機会が増えるでしょう。

20代後半には管理職やプロジェクトリーダーなど、より高い役職へのキャリアアップが見込めます。

早い段階での資格取得は転職市場でも強いアピールポイントとなり、年収アップや待遇改善を求める転職活動でも優位に立てる点が大きなメリットです。

キャリアが積みやすい

管理職やプロジェクトリーダーといったポジションへの昇進には、建築施工管理技士の資格が不可欠です。

資格は、知識を示すだけでなく、現場をまとめるリーダーシップやプロジェクト全体を管理する能力があることが証明できます。資格の有無が、リーダーポジションを得られる大きな分かれ道ともいえます。

資格がキャリアアップの後押しとなり、将来のキャリア形成の土台となるのです。

働きながら資格取得が目指せる

企業によっては、施工管理資格取得にかかる費用の一部や全額を負担する「資格取得支援金」や「受講料補助」を提供しているケースがあります。このような支援制度が整っている企業に「施工管理補助」として転職すれば、未経験の方でも働きながら資格取得を目指すことが可能です。

また、「実務経験はあるけれど資格は未取得」という人にも、企業の支援を受けながら資格取得を目指せるメリットがあります。

実際に、資格取得に向けたサポート体制が整った企業では、学習方法も通信教育や夜間学校、企業内研修など選択肢が豊富で、ライフスタイルに合わせて学べる環境が整っています。

「どんな企業が資格取得支援制度を設けているのか」「経験や資格は必要なのか」。このように施工管理職への転職をお考えの方は、住宅転職エージェント住まキャリにご相談ください。豊富な転職実績を活かし，安心して働ける企業をご紹介いたします。

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施工管理の資格取得後のキャリアパス

資格を取得することで、キャリアパスは大きく広がります。代表的なステップアップを紹介するので、どんな仕事につなげていきたいかを考えながら読み進めてください。

現場監督からプロジェクトマネージャーへの昇進

施工管理の資格は、建築現場での知識と経験を証明するものです。資格取得後は、現場監督からプロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャーへと昇進する道が開かれます。

プロジェクトマネージャーとは、計画の立案から完了までの全体を管理し、チームをまとめ、プロジェクトの成功に責任を持つ重要なポジションのことです。

資格取得後に現場での経験を積むことで、プロジェクト全体を管理する重要なポジションで活躍できる可能性が高まります。

管理技術者としてのキャリア形成

1級施工管理技士を取得すれば、管理技術者としてのキャリア形成が大きく進みます。

統括できるプロジェクト例は以下の通りです。

• 大規模な公共工事
• 民間プロジェクト

管理技術者は、複数のチームをまとめ上げ、プロジェクトの進捗を全体的に管理します。責任ある仕事を担うことでキャリアアップだけでなく更なる経験を積む機会が増えるでしょう。

管理技術者として大規模な工事を統括することは、信頼される技術者としてのキャリアアップには欠かせないステップです。

建築関連の他資格へのステップアップ

施工管理技士の資格取得後は、建築士や技術士など、より専門性の高い資格にチャレンジすることもできます。

建築士の資格があれば設計分野にも携われるようになり、技術士の資格はコンサルタント業務への道が開けるでしょう。

住宅業界は施工管理の資格不要で転職できる

資格や実務経験があれば有利ですが、住宅業界への転職は必ずしも資格が必要ではありません。

多くの住宅メーカーでは、入社後の研修や現場での実務経験を通して、キャリアアップが図れます。未経験からでも、施工管理の仕事にチャレンジ可能です。

なるべく早く転職を成功させるのが、将来的なキャリア形成の鍵となります。若さとやる気を武器に、まずは一歩踏み出してみてください。