政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅分野の省エネ化を加速しています。
エネルギー価格の高騰や資材費の上昇が続く中、家庭の負担を軽減しつつ、持続可能な住宅供給体制を構築することが喫緊の課題となっています。
こうした状況を受け、国土交通省・経済産業省・環境省が連携し、「子育てグリーン住宅支援事業」を新たに創設しました。
この取り組みは、特に子育て世帯や若年夫婦世帯などを対象に、省エネ性能の高い住宅の普及を後押しするものです。
新たな動き
令和6年度補正予算案に基づく本事業は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を上回る「GX志向型住宅」を中心に支援する仕組みです。
新築住宅の支援では、GX志向型住宅1戸あたり最大160万円**、子育て世帯向けの長期優良住宅では最大100万円が補助されます。
また、リフォームについても、断熱改修・高効率給湯器設置・バリアフリー改修などを対象に、最大60万円の補助が用意されています。
特に注目されるのは、3省が連携するワンストップ支援体制です。
国交省による子育て支援、環境省の断熱窓改修、経産省の給湯器支援が統合され、申請手続きの簡略化が図られています。
課題
住宅市場では、省エネ基準の高度化に伴う建築コスト上昇が課題として残ります。
特にZEH基準を上回る断熱性能(等級6以上)や、再生可能エネルギー導入を求める要件は、施工事業者にとって大きな負担となる側面もあります。
また、地方では工務店の対応力や人材不足が影響し、制度を活用しにくいケースも見られます。
制度の認知度向上と、地域格差を縮小するための支援体制整備が今後の鍵となりそうです。
取り組み
事業の申請受付は令和7年3月下旬から開始予定で、工事の完了報告は令和8年7月〜令和10年2月まで段階的に求められます。
申請は事業者を通じて行われ、住宅取得者や発注者への補助金の全額還元が義務づけられています。
また、国土交通省では、GX志向型住宅を建設する事業者に対してグリーントランスフォーメーション(GX)への協力表明書の提出を求め、省エネ住宅の普及と脱炭素社会への移行を促進しています。
展望

国土交通省は、「2030年度までに新築住宅のZEH基準を義務化」する方針を掲げています。
この支援事業は、その実現に向けた重要なステップと位置づけられており、長期的には住宅市場全体のエネルギー効率化を牽引することが期待されます。
補助金の枠組みを超え、住宅業界全体のGX(グリーントランスフォーメーション)転換を後押しする動きとして注目されています。
住まキャリの見解
今回の制度は、住宅購入やリフォームを検討する子育て世帯にとって大きなチャンスといえます。
特に「ZEH水準住宅」や「長期優良住宅」への補助は、光熱費削減や快適性向上といった生活面のメリットにも直結します。
今後は、制度を十分に理解し、早期申請を行うことが成功のポイントとなるでしょう。
『住まキャリ』としても、省エネ住宅を通じた持続可能な暮らしの支援を続けていきます。
出典:
国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業の内容について(令和7年2月7日時点)」
経済産業省・環境省合同発表「住宅の省エネ化支援強化に関する補正予算案(令和6年11月29日)」
(https://kosodate-green.mlit.go.jp)


