大阪市では再開発の動きが続く中、市民参加型の街づくりやデジタル技術の活用が一層注目されています。
難波宮跡公園周辺では、公園活用を軸とした新たなエリア形成が進められており、地域住民や来訪者の意見を反映した空間づくりへの期待が高まっています。
こうした流れを受け、市民の声をデジタル技術で可視化する取り組みが新たな段階に入りました。
新たな動き

NTTアーバンソリューションズ株式会社は、商業施設『なノにわ』(難波宮跡公園「みんなのにわ」プロジェクト内)において、来訪者の意見をAIが集約し、未来像として提示する実証実験を開始しました。
期間は2025年11月8日〜24日で、AIが多様な意見を「集合知」として画像・文章で可視化する仕組みが導入されています。
大阪・関西万博の公式アプリ「EXPO2025 Personal Agent」で培った集合知生成技術がベースとなっており、万博で得た知見を実際の街づくりへ応用する取り組みが本格化しています。
課題
従来のアンケート調査では、自由意見の解釈や全体傾向の抽出に限界があるという課題がありました。
特に「幅広い対象者の潜在的なニーズ」や「少数意見の傾向」を精緻に把握することは難しい状況が続いていました。
今回のAI活用は、従来分析では拾いきれなかった声を集約し、地域の意思形成をより立体的に捉える試みとして注目されています。
取り組み

実証実験では、「未来のなノにわ こうならいいな」というテーマで来訪者から自由な意見を収集し、生成AIが意見を統合して「みんなが求める未来像」を抽出します。
生成された集合知は、施設運営だけでなく、難波宮跡公園や周辺エリアの街づくりにも活用される予定です。
さらに、AIによる可視化プロセスそのものを検証し、地域共創型の街づくり手法を確立する狙いがあります。
展望

今回の取り組みは、地域住民の声をデジタル技術で可視化し、街の未来像を共に描くモデルケースとなる可能性があります。
NTTアーバンソリューションズは、実証結果を踏まえて他地域への横展開を見据えており、「街づくり×デジタル」の分野でさらなる価値創出を目指しています。
今後は、AIが市民参加を支えながら、都市デザインのプロセスを変革していく動きが広がると考えられます。
住まキャリの見解

街づくりにAIによる集合知生成を取り入れる取り組みは、これまでの地域参加の枠組みを大きく拡張するものです。
『住まキャリ』としては、多様な声を可視化できる仕組みが地域の合意形成を促し、新たな暮らしの価値につながるとみています。
人口減少下でも“選ばれる街”をつくるためには、住民が主体的に関わる仕組みの整備が欠かせません。
今回の実証はその先駆けとして、大きな意義を持つと判断しています。
出典:NTTアーバンソリューションズ株式会社「AIによる集合知生成を活用した街づくり実証実験」(2025年11月14日)


