品川駅・田町駅周辺では、広域交通ネットワークの強化を背景に再開発が加速しています。
特に山手線と京浜東北線の結節点である田町は、ビジネスエリアとしての成長が続いており、駅周辺の都市機能向上が長年の課題となっていました。
国際交流拠点としてふさわしい整備を進めるため、官民連携による都市再生の必要性が高まっています。
新たな動き
国土交通大臣は10月29日、「田町駅西口駅前地区開発事業」を特定都市再生緊急整備地域の優良民間都市再生事業として認定しました。
認定を受けた三井不動産・森永乳業・JR東日本の3社は、交通広場の拡張やバリアフリー動線の整備、東西自由通路の拡幅、駅前デッキ広場の構築など、駅とまちを一体的に結ぶ都市基盤整備を進めていく方針です。
課題
田町駅周辺は、交通量の多さや動線の複雑さから、歩行者混雑や乗り換え利便性の課題が指摘されてきました。
また、大規模な低・未利用地の残存により、エリア全体の土地利用転換が十分に進んでいない状況も続いています。
都市再生の観点からは、安全性・快適性・防災性を向上させつつ、多様な用途を取り込んだ複合拠点の形成が求められてきました。
取り組み

本事業では、地上レベルの交通機能強化と、2階レベルの歩行者ネットワーク構築の双方を進めることが特徴です。
交通広場の拡張、歩道部の拡幅、バス・タクシー乗降場の引き込みにより交通結節機能を改善し、駅前デッキ広場や東西自由通路拡幅で混雑緩和を図ります。
また、スタートアップ向け産業支援施設の新設によりイノベーションのエコシステム形成を促し、国際交流拠点として魅力ある都市機能を導入します。
加えて、一時滞在施設・防災備蓄倉庫、自立・分散型のエネルギーシステムの構築により、防災対応力と環境性能の向上を目指します。
建築物は地上24階・地下2階で、延床面積は約9.8万㎡。
用途は事務所・商業・自動車庫などで、2025年10月1日の着工後、2031年3月の建物完成、2034年3月の全体竣工を予定しています。
展望

事業完了後は、田町駅西口に新たな都市の玄関口が形成され、交通利便性の飛躍的な向上が見込まれます。
さらに、多様な都市機能の導入により、品川・田町エリア全体の国際競争力が高まり、ワーカー・住民・来訪者が快適に過ごせる都市空間へと進化する見通しです。
地域の回遊性向上は、周辺エリアの開発と相乗効果を生み、新たな交流拠点としての価値を高めていくと期待されます。
住まキャリの見解
今回の開発事業は、交通結節点である田町のポテンシャルを最大限引き出す取り組みといえます。
特に、東西動線の改善と駅前空間の再編は、ワーカーの利便性を大幅に向上させ、地域活性化にも寄与するでしょう。
スタートアップ支援や環境対策を組み合わせた複合拠点の整備は、今後の都市開発のモデルケースとなり得ると見られます。
『住まキャリ』としても、本プロジェクトが品川・田町エリアにもたらす中長期的な都市価値の向上に注目しています。


