戸建注文住宅の顧客像が変化 ー 建築費上昇や年収構造の変化が影響か

一般社団法人住宅生産団体連合会が2024年度調査を公表しました。

住宅価格の上昇や建材費の高止まりが続く中で、戸建注文住宅を取り巻く環境は大きく変化しています。

家計負担の増加やローン金利への不安が高まる一方で、住宅取得ニーズは依然として根強さを保っているのです。

こうした状況を踏まえ、一般社団法人住宅生産団体連合会は、主要都市圏での顧客動向を把握するために毎年調査を行っています。

今回の2024年度調査は25回目にあたり、住宅取得層の意識や費用構造の実態が示されました。

新たな動き

2024年度の有効回答数は2,435件で、そのうち94.6%が住団連会員企業の顧客を対象としたものです。

世帯主の平均年齢は40.0歳となり、昨年度からわずかに低下しました。

30歳代の割合が高い状況は例年と同様であり、親世帯と子世帯の関係性を持つ顧客が5割を超える点も特徴として示されています。

また、従前住宅では「賃貸住宅」の割合が最も高く、注文住宅取得前の住まいとして主流の位置づけになっています。

課題

建築費の上昇が続いている点は大きな課題として浮かび上がっています。

建築費の平均は4,760万円となり、昨年度から増加しました。

住宅取得費の合計も7,006万円となり、年間で325万円の増加が見られます。

世帯年収は平均1,128万円となり、昨年度から低下しているにもかかわらず、建築費・土地代は上昇を続けています。

その結果、自己資金や借入金を増やすことで負担を調整する傾向が強まっています。

延床面積が縮小傾向にある背景にも、取得費上昇の影響が表れていることがわかります。

取り組み

今回の調査では顧客の住宅取得に関する意識変化も明らかとなりました。

住宅性能表示制度を採用した割合は80%を超え、性能に対する意識の高さがうかがえます。

また、最新設備の中では「太陽光発電パネル」への関心が最も高く、環境配慮型設備への需要が高まっています。

建材では「メンテナンスフリー外壁」、技術面では「免震・制振」を含む構造システムが注目度を集めています。

さらに、ZEH住宅を採用した割合は増加を続けており、省エネ志向の定着が進んでいます。

展望

住宅取得費の増加や世帯収入構造の変化が続く中で、注文住宅市場には新たな課題と可能性が生まれています。

建築費の上昇が長期化する一方で、省エネ住宅や高性能住宅への関心は引き続き高まっているのです。

また、住宅ローンの金利タイプでは変動金利の選択比率が高く、金利動向への注目度が以前より増しています。

建築費や土地代が上昇する環境下でも、取得意欲は維持されており、顧客の価値観はより「性能」「将来性」「資産性」を重視する方向へシフトしています。

今後も市場動向を見据えながら、顧客ニーズに応じた住宅提案が求められる状況が続くと考えられます。

住まキャリの見解

今回の調査結果からは、建築費の上昇に対して顧客が柔軟に資金計画を調整しながら住宅取得を進めている実態が読み取れます。

また、性能や設備への関心の高まりは、住宅業界全体の技術革新を後押しする重要な要素です。

住まキャリは、省エネや高性能を重視するトレンドは今後も拡大し、住宅取得層の価値観に大きな影響を与えると考えています。

出典:一般社団法人住宅生産団体連合会

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