東京都は毎年、土地価格や利用状況に関する詳細なデータをまとめた「東京の土地(土地関係資料集)」を公表しています。
令和7年11月に発行された最新版となる「東京の土地2024」では、地価の推移や土地所有構造、利用状況、建物の床面積、売買・相続を含む土地取引の実態が体系的に整理されています。
都市開発や不動産市場に関わる基礎資料として長年活用されており、今回は全国的な地価動向の変化や東京都区部と市部の土地利用の違いが改めて示されました。
都市圏における人口や企業活動の集中が続く中で、土地資源の評価と活用は一層注目を集めています。
新たな動き

資料集の「はじめに」では、東京都が本資料を政策立案や都市づくりにおける基礎データとして位置付けていることが記されています。(参照:東京の土地(土地関係資料集))
東京都および全国の地価推移を見ると、令和6年時点で東京圏は地価が上昇基調となっており、商業地・住宅地ともに平均価格の回復が続く形となりました。
特に、国土交通省の地価公示をもとにしたデータでは、東京圏は前年からプラス幅を広げており、都心部を中心に価格上昇の動きが顕著です。
また、主要地点では住宅地・商業地ともに高価格帯の推移が続いており、銀座や丸の内といった中心部では依然として高い価格水準を保っています。
課題
資料からは、土地保有構造や土地の細分化が進んでいる一方で、所有者あたりの土地面積が長期的に減少傾向にあることが示されています。
区部では土地の分割利用が進み、一人当たりの土地所有面積は昭和期と比べて大幅に縮小しています。
また、土地取引件数については、地域により変動が大きく、不動産需要が高い区部では売買件数が集中する傾向が続いています。
人口密度の高まりや土地の高度利用が進む中で、土地資源の効率的な活用と適正な管理が引き続き重要な課題として浮かび上がっています。
取り組み

東京都は、区市町村や国の統計データを基に土地の利用状況や所有構造を継続的に把握し、都市政策の根拠となる情報整備を行っています。
資料集では、住宅地・商業地・工業地の利用状況や、建物用途別床面積の推移などが整理されており、都市づくりの方向性を判断するための基礎情報として活用されています。
さらに、空き家率に関するデータも掲載されており、住宅政策や地域の再生に向けた取り組みを進めるうえで参考となる情報が提供されています。
東京都はこうした統計を毎年更新することで、都市の課題を継続的に把握し、政策形成に反映させています。
展望
土地価格の上昇が続く都市部では、住宅確保の難しさや事業用地の不足といった問題が今後も深刻化する可能性があります。
資料集に示された動向からは、都心と郊外の土地利用の差が広がる一方で、再開発事業や都市インフラ整備に伴う土地需要が今後も高まることが見込まれます。
また、人口構造の変化や企業の立地動向が土地価格にも影響を与えるため、地価の先行きには引き続き注視が必要です。
土地資源の効果的な活用や持続可能な都市政策が求められる場面が増えると考えられます。
住まキャリの見解
今回の資料は、東京都における土地利用の変化が長期的に続いていることを示しています。
特に、土地価格の回復傾向や所有者一人当たりの土地面積の縮小といった事実は、住宅や事業用不動産の取得環境に大きな影響を与える内容です。
住まキャリは、都市部では需要の高まりに応じて土地の用途転換や再開発がさらに進み、不動産関連のキャリア領域においても専門性が求められる場面が増えると考えています。
土地市場のデータを把握することは、キャリア選択や事業判断の精度向上に役立つため、継続的な情報収集が重要になります。
出典:都市整備局


