不動産用地仕入れとは?仕事内容・向いている人・きつい点を徹底解説

すまきゃり スマキャリ

不動産の用地仕入れは、不動産会社の事業を支える重要な仕事です。

「用地仕入れってそもそも何をするの?」
「営業職だけど、仕入れ業務に挑戦できる?」
「交渉が大変そうだけど、自分にもできる?」

このように、用地仕入れに興味はあるものの、転職をためらっている人も多いでしょう。

本記事では、用地仕入れの仕事内容や営業のコツ、厳しさ、向いている人まで詳しく解説
転職すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

不動産の用地仕入れとは?住宅業界との違い

不動産の用地仕入れとはどんな仕事?

不動産の用地仕入れは業界ごとに異なります。

以下の表で、住宅業界と不動産業界の用地仕入れの違いを整理しました。

スクロールできます
住宅業界(ハウスメーカーなど)不動産業界(不動産会社・投資用不動産)
仕入れ先住宅用地の仕入れ収益不動産(賃貸マンション・アパート・事業用物件)の仕入れ
重視するポイント・住みやすさ(駅・学校・商業施設の近さ、治安、自治体の開発計画など)
・事業の採算性(販売価格、開発コストとのバランス)
・収益性(家賃相場・空室率・利回り・市場価値の上昇見込み)
・テナント、投資家のニーズ
主な取引相手地主・地域の不動産会社不動産オーナー・法人・投資家
仕入れ後のプロセス土地を造成し、建売住宅・分譲住宅として販売賃貸運用、リノベーション後の売却、不動産投資家への転売など

不動産業界の用地仕入れは収益性と事業計画が最優先

不動産業界の用地仕入れでは、土地の将来的な価値や収益性が最も重要な判断基準になります。

マンション、オフィスビル、商業施設など、開発後の事業計画を前提として仕入れを行うため、賃料相場や空室リスク、市場の成長性などを分析するスキルが求められます。

また、住宅業界と異なり、交渉相手は法人や不動産オーナー、投資家が中心です。そのため、事業計画のプレゼン能力や市場分析に基づく説得力が不可欠になります。

住宅業界の用地仕入れは住みやすさと販売計画がポイント

住宅業界の用地仕入れでは、個人向けの住宅を開発するため、住環境の良さが最重要視されます。駅や商業施設へのアクセス、学区や医療機関の充実度など、居住者の生活利便性が大きなポイントになります。

ただし、住みやすさだけではなく、販売計画やコストバランスも考慮します。

例えば、開発コストが高くなりすぎると分譲価格とのバランスが取れず、利益が確保できなくなるリスクがあります。そのため、仕入れ時点でのコスト計算や、将来的な販売戦略の立案も重要になります。

また、住宅業界の仕入れは地主など個人の土地所有者が相手となるケースが多く、即決で売却されることは少ないです。

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不動産用地仕入れの仕事内容・業務の流れ

用地仕入れの仕事内容・業務の流れ

不動産の用地仕入れとは、具体的にどんな仕事内容なのでしょうか。

ここでは業務の流れに沿って解説していきます。

用地仕入れの仕事内容・業務の流れ
  • 各方面との関係構築
  • 市場調査と用地候補の選定
  • 土地の調査
  • 交渉
  • 契約書作成と締結
  • 用地仕入れ後の商品化

各方面との関係構築

用地仕入れでは、まず売却につながる土地情報を得るために、幅広い関係者とのネットワークを築くことが欠かせません。

特に、不動産市場では「表に出ない情報」=未公開物件が重要視されるため、土地所有者や不動産業者などとの信頼関係を構築し、仕入れのチャンスを逃さないことが大切です。

主な関係者
  • 土地所有者(個人・法人) 売却意欲のある所有者だけでなく、潜在的な売主とも関係を築く
  • 不動産仲介会社 土地情報の提供や取引の仲介を担う
  • 地元企業の経営者 地域に密着した情報を持つことが多い
  • 金融機関・投資家 事業用地としての活用や資金調達の面で関与

市場調査と用地候補の選定

仕入れる土地が事業として成り立つかどうかを判断するため、市場調査を行います。

市場調査の内容
  • エリア分析 人口動態、交通アクセス、商業施設の有無などを調査
  • 用途地域・建築規制の確認 建築可能な用途や建物の規模を把握する
  • 市場動向のチェック 地価の変動、近隣の競合物件の状況を分析

例えば、商業施設向けの用地仕入れでは、「将来的に賃料収益が見込める立地かどうか」が重要になります。

一方で、マンション用地であれば、「周辺にどのような層の住民がいるのか」や「販売価格に見合うエリアか」などがポイントとなります。

この段階で十分なリサーチを行わないと、後々の事業計画に影響を与えるため、非常に重要なプロセスとなります。

土地の調査

市場調査の結果、仕入れ対象として有望な土地が見つかったら、次に詳細な調査を行います。

土地調査の内容
  • 権利関係の確認 所有者情報、抵当権の有無、地役権などをチェック
  • 法的規制の調査 用途地域、建ぺい率・容積率、建築制限の有無を確認
  • インフラの整備状況 上下水道・ガス・電気の供給状況、道路幅員などをチェック 

例えば、建築規制が厳しいエリアでは、想定していた規模の建物が建てられない可能性もあります。また、インフラが未整備の土地では、開発コストがかさみ、事業の収支バランスが崩れることもあります。

そのため、法務・技術面でのリスクを洗い出し、仕入れの可否を最終判断します。

交渉

交渉では、単に価格を決めるだけでなく、引き渡し条件や契約時期など、さまざまなポイントを調整する必要があります。

売却に対して迷いがある地主には、将来的な税負担や土地活用のメリットを説明し、納得してもらうことが重要です。

一方、法人や投資家が売主の場合は、収益性や事業計画をもとに合理的な条件交渉を行うことが求められます。価格だけでなく、引き渡しのタイミングや手付金の条件なども交渉のポイントになります。。

契約書作成と締結

交渉がまとまったら、契約書を作成し、正式に締結します。

契約書には、売買条件の詳細が明記され、契約の不履行が発生しないように条項が設定されます。特に、契約解除の条件や違約金の設定などは、後々のトラブルを防ぐために慎重に取り決める必要があります。

また、契約後の登記手続きや支払いのスケジュールも事前に調整し、円滑に取引が完了するように進めます。

用地仕入れ後の商品化

用地仕入れが完了した後、その土地がどのように活用されるかは、会社の事業モデルや仕入れ時の目的によって異なります。

主に以下のようなパターンがあります。

  • 仕入れた土地をそのまま転売(再販)
  • 開発計画を立て、事業用地として売却
  • 収益物件として活用(自社保有または投資家向け販売)
  • 共同事業(他社と組んで開発)

ただし、これらは開発部門や専門の担当者が行うケースが多く、用地仕入れ担当者が直接すべてを担当するわけではありません。

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不動産用地仕入れの魅力とやりがい

不動産の用地仕入れの働き方

幅広い仕事内容を担う不動産の用地仕入れ。

働く魅力について、以下の3つのポイントをピックアップして解説していきます。

不動産の用地仕入れの魅力
  • 高度な不動産知識が身に付く
  • 高年収が期待できる
  • 幅広いネットワークや人脈ができる

高度な不動産知識が身に付く

用地仕入れでは、土地の価値を見極め、最適な活用方法を考える力が求められます。そのため、実務を通じて不動産の法律や市場分析、契約交渉のスキルが磨かれていきます。

また、用地の仕入れは単なる営業活動ではなく、事業計画の一端を担う仕事でもあります。不動産投資や開発の視点を持つことができるため、長期的なキャリア形成にも役立ちます。

高年収が期待できる

用地仕入れの仕事は、成果が収入に直結しやすいのが特徴です。

固定給に加え、契約ごとにインセンティブが支払われる企業が多く、大型案件を成約すれば一気に高収入を得ることも可能です。

参考データとして、求人ボックスの統計では、用地仕入れの平均年収は529万円(※)とされていますが、企業によってはこれを大きく上回る場合や、インセンティブの割合が高い場合もあります。

転職を検討する際は、固定給+インセンティブの仕組みや、評価制度を事前に確認することが大切です。

※2024年12月時点の情報です。

参考:求人ボックス「用地仕入れの仕事の年収・時給・給料」

参考:国税庁「平均給与」

参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」

幅広いネットワークや人脈ができる

用地仕入れの仕事では、土地所有者、不動産会社、金融機関、行政など、多くの関係者とやり取りを行います。営業活動を続けることで、業界内のつながりが広がり、独自の情報ネットワークが築けるのも魅力です。

また、長年の経験を積むことで、土地情報が集まりやすくなり、交渉を有利に進められるようになります。この人脈は転職や独立を考える際にも強みになるでしょう。

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不動産用地仕入れ営業はきつい?難しい点とは

用地仕入れは、やりがいのある仕事ですが、簡単に成果が出るものではありません。

営業スキルだけでなく、不動産に関する専門知識や交渉力が求められ、長期間にわたる地道な活動が必要になります。ここでは、特に難しいとされるポイントを解説します。

不動産の用地仕入れのきつい部分
  • 交渉の難しさ
  • 成果が出るまでの期間が長い
  • 法律・規制の理解が必要

交渉の難しさ

用地仕入れは、売却を考えていない地主や企業に対して、土地の売却を促す営業活動が必要です。そのため、単なるセールストークではなく、相手の状況や将来的な課題を踏まえた提案力が求められます。

特に個人の土地所有者は長年の思い入れがあるケースが多く、すぐに売却の意思を固めることは少ないため、関係を築くのに時間がかかります。地道な訪問や信頼関係の構築が求められるでしょう。

成果が出るまでの期間が長い

売買仲介のように、すぐに契約に結びつく営業とは異なり、用地仕入れは成果が出るまでに時間がかかる仕事です。土地の売却には慎重な判断が必要なため、年単位で交渉を続けることも珍しくありません。

また、土地を仕入れた後も、開発計画の立案や事業化の過程があり、会社の収益に結びつくまでに長いスパンが必要となります。

そのため、短期的な成果を求める人には向いていない仕事といえます。

法律・規制の理解が必要

土地の仕入れには、都市計画法や建築基準法、用途地域の制限など、さまざまな法律や規制が関わります。

仕入れた土地が思うように活用できないと、事業全体の計画が大きく狂ってしまうため正確な法的知識が不可欠です。

特に再開発予定地や規制が多いエリアでは慎重な判断が求められます。

自治体との調整や許可申請のプロセスも発生するため、法的なリスクを理解しながら適切に対応する能力が必要です。

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不動産用地仕入れに向いている人の特徴

用地仕入れは、高額な取引を扱うため、交渉力や市場分析力が求められ、不動産営業の中でも専門性が高い仕事です。

そのため以下のような適性がある人には向いているでしょう。

不動産の用地仕入れに向いてる人
  • 交渉を楽しめる人
  • 市場調査や分析が好きな人
  • 不動産営業の経験を活かしてキャリアアップしたい人

交渉を楽しめる人

土地の仕入れでは、所有者との交渉が不可欠です。単に価格交渉をするだけでなく、相手の状況や価値観を考慮しながら、長期的な関係を築くことが重要になります。

粘り強く交渉を続けることが苦にならず、相手の立場に寄り添った話し合いができる人に向いています。

市場調査や分析が好きな人

土地の価値は、エリアの開発計画や周辺環境の変化によって大きく左右されます。

地価の推移や人口動向、競合物件の状況など、幅広いデータをもとに市場を分析し、将来的な価値を見極める力が求められます。

数字やデータの裏付けをもとに判断するのが得意な人に適した仕事です。

不動産営業の経験を活かしてキャリアアップしたい人

賃貸や売買仲介の営業経験がある人は、培った人脈や交渉スキルを活かしながら、より大規模な案件に挑戦できます。

特に、不動産業界の基礎知識があり、法人との取引経験がある人は、スムーズにキャリアアップできるでしょう。

また、用地仕入れは高額案件を扱うため、成果を出せば収入アップも期待できます。

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不動産用地仕入れは女性でも活躍できる?

用地仕入れは営業職の中でも専門性が高く、交渉力が問われる仕事ですが、女性でも活躍できる場面は十分にあります。

ただし、仕事の特性上、向き不向きがあるため、慎重に検討することが大切です。

女性で活躍しやすい?
  • 信頼関係を築ける人は活躍しやすい
  • 成果が出せればしっかり稼げる
  • 会社選び次第で働きやすさが変わる

信頼関係を築ける人は活躍しやすい

仕入れ営業では、不動産オーナーや不動産業者との関係構築が欠かせません。

親しみやすい雰囲気を持ち、信頼関係を築くのが得意な人は有利です。特に、長期的に関係を深めて情報を引き出せるタイプの女性は活躍しやすいでしょう。

ただし、単なるコミュニケーション能力だけではなく、交渉力や粘り強さが求められます。飛び込み営業や、地主との根気強い交渉に抵抗がないかどうかも重要なポイントになります。

成果が出せればしっかり稼げる

用地仕入れは1件ごとの取引額が大きく、成功すれば高額なインセンティブを得られる可能性があります。売買仲介よりも収益性が高いケースもあり、性別問わず実績次第で高収入を目指せる環境です。

ただし、契約が取れなければ収入が安定しにくいのも事実です。市場調査や交渉スキルを磨きながら、安定的に成果を出せるようになるまでには時間がかかるでしょう。

会社選び次第で働きやすさが変わる

用地仕入れは、地権者の都合によって商談が休日や夜間に入ることもあります。繁忙期には長時間労働になりやすく、体力的・精神的な負担がかかるケースもあります。

しかし、企業によっては柔軟な働き方が可能な場合もあります。例えば、スケジュール管理の自由度が高い会社では、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなります。

また、チーム制を導入して負担を分散している企業もあるため、転職時には企業の働き方にも注目するとよいでしょう。

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未経験から不動産の用地仕入れに転職するには?必要な経験とスキル

用地仕入れの仕事は、高度な交渉スキルと不動産の専門知識が必要です。

そのため、完全未経験からいきなり用地仕入れに挑戦するのは難しく、営業経験や不動産業界の基礎知識がある方が有利です。

未経験者に有利な経験・スキル
  • 営業経験(法人営業・不動産営業)があると有利(交渉力や人脈構築が活かせる)
  • 宅建や不動産に関する資格を取得しておく(最低限の知識を証明できる)
  • 不動産仲介業務を経験し、仕入れの流れを理解する(賃貸・売買仲介で経験を積む)

未経験歓迎の求人もありますが、用地仕入れは専門性が高いため、「経験者優遇」が一般的です。

そのため、まずは不動産営業の基礎を学び、キャリアを積んでから用地仕入れに進む道も現実的な選択肢になります。

未経験者の不動産業界への難易度については、以下の記事を参考にしてください。

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不動産の用地仕入れはやりがいのある仕事!ただし適性が求められる

不動産の用地仕入れはやりがいがある仕事!未経験からでも挑戦できる

不動産の用地仕入れは、土地の調達を通じて事業の成長に貢献できる、ダイナミックでやりがいのある仕事です。

交渉力・市場分析力・法的知識などのスキルが求められるため、簡単ではありませんが、その分、成果を出せば高収入を狙える魅力があります。

「今の営業経験を活かして、より専門性の高い仕事に挑戦したい」
「キャリアアップして、収入を大きく伸ばしたい」

そんな方は、用地仕入れの仕事にぜひチャレンジしてみてください。

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この記事を書いた人

住宅業界専門の転職エージェントを運営している住まキャリです。専門的な業界の知識を活かして住宅業界に関するお役立ち情報をご提供させていただきます。

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